【運営】:認知症介護研究・研修センター(東京、大府、仙台)
  我が国の認知症介護に関する研究・研修の中核的機関として
  平成12年度に厚生労働省により設置されました

研修情報

認知症介護指導者の紹介/仙台センター

大久保 幸積(仙台センター第2期生)
市町村合併を視野に入れた地域福祉の展開

特別養護老人ホーム 幸豊ハイツ

地域の特徴

地域の特徴
 幸豊ハイツは、北海道の札幌と函館の中間に位置し、洞爺湖温泉や登別温泉など観光地も近く、内浦湾という地形から冬は降雪量も少なく気候も穏や かです。海と山と川の風景が素晴らしく、ホタテとイチゴの美味しい『豊浦町』にあります。JR室蘭本線の大岸駅より徒歩5分の所に施設があり、敷地内には 定員100名 (30名は個室・ユニットの一部小規模生活単位型)の特別養護老人ホームとデイサービスセンター及び認知症高齢者グループホームがあります。1985年に 認知症高齢者の専用型の特養として開設しました。
 豊浦町の人口は約5,800人の過疎の町で、高齢化率も28.1%に達しています。デイサービスや訪問介護・看護を始めとする在宅サービスが充 実しており、 町立の国保病院や老人保健施設(定員50名)の他に、社会福祉法人の2箇所の特別養護老人ホームもあるので、施設サービスも充実しており、自立支援を支え る各種サービスを選択することができます。

施設が取り組んでいる地域ケアについて
 施設のスタッフと老後のことを話すと、その多くは老後の人生を住み慣れた地域で、家族や親しい友人と楽しく送りたいと言います。しかし、自分が 誰なのか、家族の顔もわからなくなり、住み慣れた地域の記憶も日によって変わる「認知症」になったら、家族や友人に迷惑をかけたくない。住み慣れた家や地 域でなくてもいいから、不安や 混乱のない環境で生活できると幸せだろうなぁ・・と、口を揃えて話し、一様に頷きます。
 幸豊ハイツでは、ユニットケアの導入を図り、みんなで「不安や混乱のない環境とは?」について話し合います。やはり安心できる「人」がいないと 駄目だよね・・という所に落ち着きます。現在では、従来の地域に施設を開放する地域交流より、利用者が散歩したり、 買い物に行ったり、地域にどんどん出て行く生活を増やし、地域の「人」に利用者の顔や名前を覚えて頂き、気軽に声をかけてもらえる「絆=ケア」を大切にし ています。

今後の課題と展望
 私は、現在法人全体の施設をマネジメントしています。法人は、1市、2町、1村の地域に複数の施設・在宅サービスを展開していますが、将来の市 町村合併の場合に、これまでの基盤整備に格差が生じます。地域のニーズに合わせたバランスの取れたサービス提供を図るための事業展開が不可欠になります。 特に、施設サービスでは6割を超える 利用者が認知症介護を必要としている現状で、在宅サービスにおいても認知症介護の需要が増加し、深刻な問題となっています。高齢者を抱える家族に「認知 症」の予防について啓蒙し、地域で支えるためのシステムを構築することが喫緊の課題です。
 近年、グループホームケアやユニットケアが「介護現場」に積極的に導入され、認知症介護に関する教育研修も体系化、 制度化され継続的に実施されています。認知症介護の専門教育を受けた人が地域のシステム構築に深く関わり、行動を起こすことが大切だと思います。

認知症介護指導者/仙台センター一覧へ戻る