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事例概要 事例14

タイトル:ほぼ毎日、「子供が迎えに来る」と言って玄関に朝からずっと張り付く

Ⅰ.<事例の状況>

 Aさんは、ほぼ毎朝、「子供が迎えに来る。」「子供から連絡があったので帰る。」と言ってはエレベーターで1階まで車椅子を自操し、玄関口でじっとしている。入浴の時間や昼食の時間などで職員が声をかけるが、その都度甲高い叫び声をあげて拒否する。また、食事を玄関に持っていっても同様の反応をする。どの職員が声をかけても同じであり、興奮状態が続くと歩き出して硝子戸を物でバンバン叩くので、最近は職員も刺激を与えないようにそっとしている。夕方になって自室に戻ることもあるが、調子が悪いときは一晩中玄関口で過ごすことがある。無理強いしても結局はまた戻ってくるので、より興奮させるだけで逆効果でもある。エレベーターや玄関は共有空間であり、制限することもできず、職員の課題となっている。

Ⅱ.<この事例で課題と感じている点>

 食事、排泄、入浴、服薬の拒否があり、どのように声かけしても大声で怒りだし、時には手をあげる。また、玄関口にいるため、皆が自由に玄関を使えない(外に出てしまうため)。

Ⅲ.<キーワード>

 帰宅を訴える。 声かけに対して興奮して大声を出す。 暴力を振るう。 食事、排泄、入浴、服薬を拒否する。 無理に立ち上がり転ぶ。 眠らない。

Ⅳ.<事例概要>

年  齢 90代前半
性  別 女性
職  歴 飲食業
家族構成 一人暮らし
認知機能 MMSE15点
要介護状態区分 要介護4
認知症高齢者の日常生活自立度 Ⅲa
既 往 歴 脳梗塞 肺炎
現   病 認知症(びまん性レビー小体病の疑い) 狭心症 変形性膝関節症
服 用 薬 セロクラール・パントシン・酸化マグネシウム・ガスターD・コントミン散・
フランドルテープ・屯用マイスリー
コミュニケーション能力 言語ははっきりしているが、耳が遠い。時々幻聴や幻覚があり、つじつまが合わないことがある。また、そのことを指摘されると激怒する。
性格・気質 社交的。 思い込みが強い。
A D L 移動は車いすで自操し、移乗は自立。 排泄はトイレ誘導。 入浴は歩浴で一部介助。 衣服の着脱は一部介助。 食事は自立。
障害老人自立度 B1
生きがい・趣味 カラオケ 飲酒(日本酒)
生 活 歴 学校卒業後、家の手伝いを経て結婚。夫他界後無年金の為、生活保護受給となった。脳梗塞や膝関節症等により徐々に介護が必要となった。認知症の症状も出現し、3年程前より近所に迷惑もかけるようになり、自宅での一人暮らしが困難との理由で、2年程前に入所した。近郊に住む子供が時々身の回りの世話をしていた。
人間関係 社交的な性格である為に、他利用者に対しては愛想が良い。ただし、耳が遠い為にあまり積極的に関わったりはしない。また、特定の関わる人もいない。
子供の面会はほとんど無く、施設に来ても「本人に会うと、帰ると言い出すから。」と言って、会わずに利用費の支払いだけをしていく。以前住んでいた地区の民生委員が、月に1回程度面会する以外は、ほとんど面会もない。
本人の意向 子供と一緒に暮らしたい。
事例の発生場所 特別養護老人ホーム
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