妻はアリセプトを服用している。他の服薬はない。
Aさんは認知症の薬を服薬していない。
糖尿病に対しては、服薬してくれないことが問題である。血糖値をコントロールできないことで、感情が不安定になり焦燥感が強くなっている。
糖尿病からくる体調の変化がありますか?
Aさんには他の疾患からの影響は考えられないのでしょうか?Aさんが体調を崩している、それを明確に表すことができていないのではないのでしょうか?
糖尿病で血糖値が急に上昇すると焦燥感が増します。体調不良は訴えられますが、正確には把握できません。
(2)身体的痛み、便秘・不眠・空腹等による苦痛の影響は考えられますか?
妻には殴られるときの苦痛、不条理感や怒りなど、さまざまな心理、身体的影響がある。Aさんにもこれまで介護者として妻を支えてきたにもかかわらず、自身の認知症の影響で不眠や体調不良の影響が出ると、よりいっそう感情のコントロールができなくなって妻を殴ってしまう。
Aさんの不眠の状態のリズムはどのような間隔でしょうか?十分睡眠が取れたときと、不眠が続いているときの妻に対する態度の変化は考えられないでしょうか?
夜に2回以上起こされると、明らかに次の日の焦燥感が増します。
(3)悲しみ・怒り・寂しさ等の精神的苦痛、また本人の性格等の影響は考えられますか?
・妻には精神的苦痛のための昼夜逆転が起きている。殴られるたびに昼夜リズムが乱れ、新たなBPSDの原因となっている。
・Aさんはこれまでのきまじめで非社交的な性格のために周囲に支援が求められない。加害者となってしまう自分を再確認するたびにAさんの心も繰り返し傷ついている。
妻への介護場面で、Aさんが良い表情を見せることや妻に対して喜びやうれしさ、満足さの言動を見つけていますか?
妻が穏やかであれば、いつもAさんは笑っています。
(4)音・光・味・臭い・寒暖等感覚的な苦痛を与える刺激の影響は考えられますか?
・妻は明るいところを避けようとする。光がまぶしく感じられるらしい。
・Aさんは認知症になってからイライラすると周囲の音がうるさく感じるようになった。
Aさんのこの状態は、糖尿病の影響は考えられないでしょうか?
大変関係があります。
イライラする周囲の音はどのような音でしょうか?
人の声、テレビの音など生活騒音全般です。
(5)家族・介護者など周囲からの過剰、あるいは少なすぎる関わりの影響は考えられますか?
2人以外に家族、親族がいない。たった一人の妻の兄もAさんとのいさかいのために接触がない。夫婦だけが孤立している。
妻のケアマネジャー、ヘルパーとのかかわりや信頼関係は築けていないのでしょうか?
家族がいなくても、これまで夫婦で何とかやってこられたのは、夫婦を支えようとするヘルパーと2人のことを真摯に考えてくれるケアマネジャーのおかげだと思います。
(6)障害程度・能力の発揮に対して、住まい・器具・物品等物的環境による影響は考えられますか?
2人ともすぐ高齢者になる年齢でしかも認知症の人同士の介護である。住居は集合住宅であり、隣人との接触はない。
Aさんの介護負担を軽減するための器具などの設置はありますか?
・Aさんの日常のADLは良好です。
・妻には全面的な介護が必要です。
・妻の混乱の軽減のための器具は・・・特に使っていません。
(7)要望・障害程度・能力の発揮と、アクティビティー(活動)とのズレによる影響は考えられますか?
・妻はADL・IADLが極端に低下しており、Aさんは両面とも残存している。
・Aさんの能力と感情面のアンバランスが目立つ。
妻とAさんが一緒に楽しい気持ちを感じられるような活動や会話は、現状のヘルパーたちと交わす会話や介護場面ではないのでしょうか?
ヘルパーがいてくれる時間は二人とも穏やかに過ごしています。
2人だけで向き合っている時間帯や夕刻が問題です。
(8)生活歴・価値観等に基づいた暮らし方と、現状とのズレによる影響は考えられますか?
努力して介護してきたのに、介護者自身の病気の悪化と認知症の発病により、これまでのケアが続けられない。Aさんが元から持っている価値観とは全く異なる現状にある。
Aさんはこれからどのように過ごしていくことを望んでいるのでしょうか?
Aさん自身はこの先も「自宅で暮らしたい」と言います。
妻がデイサービスに行っている間は、Aさんはどのように過ごしているのでしょうか?
Aさんはまだデイサービスなどを利用していません。今後の課題です。