・便秘気味のため、下剤を服用しているので、お腹がしっかりしない状態がある。
・降圧剤を服用しているが、時々血圧が90台になるときがあり、頭痛の訴えがあるときもある。
・時々「頭がグルグル回る」との訴えがある。
高血圧で降圧剤を服用し、血圧が低下しているときに了解が悪くなっていませんか?
血圧が普段より低下していても、Aさんはいつもと変わらず行動しています。口数が少なくなることもありません。
上記のようなことを医療機関に情報として伝えていますか?
定期受診の際、血圧や排便のことや特変があったことを、伝えています。
家族にも情報を伝え、脳外科を受診しています。受診結果として、脳の萎縮もなく、血管も異常なしとのことでした。
(2)身体的痛み、便秘・不眠・空腹等による苦痛の影響は考えられますか?
・便秘のため、下剤を調整している。便失禁してしまったときは、落ち込みが見られる。
・夕食後、傾眠が強く出るときがあるが、すぐには寝ようとせず自分なりに頑張ってテレビを見ようとしたり、一人自室に戻り考え事をしながら傾眠していることもある。
睡眠と覚醒のリズムが悪くなっている感じはしませんか?
19時~20時ころ休み、夜間は良眠しています。起床時間は5時~6時ころで夜間トイレは3~4回行きます。リズムが悪くなっている感じは受けません。
「働き者」であったために、寝る時間を惜しむような傾向はありませんか?
夕食後の食器拭きを終えると「今日の仕事は終わりです。」と伝えているので、寝る時間を惜しむような傾向はありません。日中もソファに座っているとき少しの時間でも傾眠しています。夜は早く寝て朝は夜明けとともに起きるのが習慣だったと家族から情報を得ています。
(3)悲しみ・怒り・寂しさ等の精神的苦痛、また本人の性格等の影響は考えられますか?
・夫のことを時々訴え「父さんどこ行った?また酔っぱらっている、ホント情けねえ」と涙ぐむときがある。
・一方的に調理の手順を決められると、「あの板長威張りくさってる」とイライラする。
・否定されると、「もういい」と自室に戻り落ち込むことがある。
・他者から何を言われても、「だまってればいいんだ。我慢してればいいんだ。」と他者から指摘されるたびにスタッフに訴える。
このような感情が表面化したときにスタッフが共通して対応するように定めたことはありますか?
Aさんはあまり感情を表さないタイプなので感情表出があったときは、ゆっくりと居室で話をしたり、気分を変えるため他のユニットへ訪問したり、本人の好きな家事を一緒に行ったりしています。これは、ケアプランにのせ、統一するようにしました。
(4)音・光・味・臭い・寒暖等感覚的な苦痛を与える刺激の影響は考えられますか?
・寒い気候の所に暮らしていた習慣で、下着や洋服を着込んでしまう。そのため、少し動くだけでも発汗が多くあり。
・他者の大きな声が気に掛かり、嫌な表情をする。怖がっているときもある。
Aさんの認知症が進行するにつれて大きな声やちょっとした変化に過剰な反応を示すようになってはいませんか?
大きな声を出す他者は特定されている(男性)。Aさんに対して攻撃的な言動があります。その人を見ると「あの親父うるさいんだ。」と言い、避けるようにしています。職員は二人になる場面を意思的に避けています。また、Aさんの気持ちを察してフォローしています。
(5)家族・介護者など周囲からの過剰、あるいは少なすぎる関わりの影響は考えられますか?
・週に一度、必ず家族の面会あり。ゆっくり話をする。
・遠くに暮らしている家族の方々も、時々会いに来てくれている。
・家族が帰った後はすぐに忘れてしまい、「いつになったら来るんだろうね」などの声が聞かれる。
・スタッフが過剰に家事などを、本人に頼っている傾向がある。
スタッフと家族との(和やかな)話し合いなどの経験はありますか?
キーパーソンの息子が毎週面会に来ているので、近況報告をしています。昨年末に息子とスタッフ管理者で、家族カンファレンスを開きました。
(6)障害程度・能力の発揮に対して、住まい・器具・物品等物的環境による影響は考えられますか?
・近くのスーパーに行ったときに、初めて来たような表情になる。本人は島と思っていたが、違う場所に来たのか?と混乱してしまう。
・島の自宅に外泊した際、落ち着きのない行動もあったとのこと。
・環境の変化や、疲れのためか、嘔吐や、頭痛もあったとのこと。
毎回、同じところに来ても初めて来たような気持ちになるとすれば、グループホームでも何度経験しても理解できないことがあるかもしれません。そのようなことに気づいていたら教えてください。
私自身、いつものことと思っていたことに気づき反省しました。考えると、今、話したことをすぐに忘れて同じことを何回も聞いたり、言ったりします。例えば、調理中「これどうやって切るんだ?これでいいのか?これ、子供に持たせろ」など。また、受診時いつも行っている病院であるのに、「オラ(自分のこと)も一緒に連れて行ってくれ」「お金持ってきていないんだ」「娘は分かっているのか」など。
(7)要望・障害程度・能力の発揮と、アクティビティー(活動)とのズレによる影響は考えられますか?
・洗濯物干しや野菜の収穫など、本人が行きたいときに、外へ行けない。(スタッフの都合で)
・漁業に関することをしたい。
Aさんのイメージの中にある世界と、今現在の活動のズレがあるとすれば、両者の差を減らすような試みはできるでしょうか?
漁業に関する仕事はできないので、島の特産物を使用しての料理を作るようにしています。夏は中庭に畑があるので、草むしりや、野菜の収穫をしています。島の自宅の裏にも畑があり野菜を作っていたとの情報を家族からもらっています。冬は雪かきをしていたとのことで、雪かきをしました。
本人は仲間とワイワイ一生懸命仕事をしてきたのでホームでも、スタッフや他者と一緒に楽しく家事ができるよう環境作りにつとめるようにしています。
(8)生活歴・価値観等に基づいた暮らし方と、現状とのズレによる影響は考えられますか?
・魚を取りに行く。ワカメを干してくる。タコの漁が戻ってきたなど本人は今も島にいる感覚で、グループホームに住んでいると思っていない。
・今もホテルで働いている延長上。
・隣の家の錆びた物置を見て、「昆布が干してある。」と言う。
かつての暮らしを回想できるような写真の活用や話ができたことはありますか?
家族が写真をたくさん持ってきてくれていますので、本人の昔の家や、家の前から見た島の風景を見て話をしたり、旅行先の写真を見ては、そのときにあったエピソードを話してくれます。
島から都会に移り住んでいる友人に会いに行ったり、友人の名前を出して話をしたりします。季節によって花のことや踊りのことなど、本人が好きなことを自ら話します。