【助言者より】
全く記入していませんが、ここでは副作用の有無を聞いているのではなく、認知症の中核症状や既往症の進行、薬の特性や効果、服薬に関する医師からの指示、留意点などを再確認することを意図しています。帰宅欲求に影響を与えている何かが見つかるかもしれません。もう一度この機会に、検討してみてはいかがでしょうか。
(2)身体的痛み、便秘・不眠・空腹等による苦痛の影響は考えられますか?
高齢であり、短時間しか起きていられない。
起きている時間をどのように活用していますか?
職員と会話する。
(3)悲しみ・怒り・寂しさ等の精神的苦痛、また本人の性格等の影響は考えられますか?
・わがまま。
・話し好き。
・人当たりは良い。
・前施設でも同じ状態であり、常に誰かにかかわってほしい。
話し好きで人当たりが良いのは、どのようなときですか?
人前に出ると皆に頭を下げ、ニコッと愛想笑いをする。職員を見ると話し掛けようとする。
(4)音・光・味・臭い・寒暖等感覚的な苦痛を与える刺激の影響は考えられますか?
【助言者より】
この項目も記入していませんが、ちょっとした刺激でも認知症の人に苦痛を与え、混乱や不安を誘発することがあり、帰宅欲求の引き金になる場合も少なくありません。うるさいだけではなく静かすぎる、明るいだけでなく暗いなどさまざまな方面から捉え、本人の言動と感覚的な刺激の関係を考えてみてはいかがでしょうか。
(5)家族・介護者など周囲からの過剰、あるいは少なすぎる関わりの影響は考えられますか?
・キーパーソンである四女の面会が、月に一度あるぐらいである。
・普段、居室で休むことを好むため、介護者のかかわりが少ないと思われる。
(6)障害程度・能力の発揮に対して、住まい・器具・物品等物的環境による影響は考えられますか?
居室にいることが多く、孤独を感じる。
居室を好む理由として、何が考えられますか?
また、どうしたら居室から出て、皆と交流したいと思うでしょうか?
高齢のため、起きていることが苦痛であるため、あるいは起きていてもすることがないからかもしれない。
気の合う人がおり、孤立を感じさせないリビングづくり。自分にできる仕事・役割がある。
(7)要望・障害程度・能力の発揮と、アクティビティー(活動)とのズレによる影響は考えられますか?
(8)生活歴・価値観等に基づいた暮らし方と、現状とのズレによる影響は考えられますか?
長女の死は、心に大きなショックを与えているが、本人は忘れてしまっている。長女の死は忘れていても、辛かった記憶は残っているように思われる。長女と暮らしていた記憶がふいによみがえり、困惑するのではないか。
長女の死を受け入れられていない。
モーニングワーク(大切な人との離別や、心の支えとなっていたものを失ったときに自然と始まる、立ち直るまでの心の営みのこと)には時間が掛かります。十分に悲しむことも必要ですが、どのような悲しみに寄り添うかかわりを持っていますか?
本人は長女の死を忘れているため、長女の死には触れずにかかわりを持つようにしているが、そのときの辛かった深い悲しみがあることを忘れず、Aさんの思いを受け止めるようにしている。