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事例概要 事例64

タイトル:家に帰りたい思いから募る不安

Ⅰ.<事例の状況>

Aさんは、週に3~4回の頻度で帰宅欲求があり、ふいに立ち上がったり大声を出したりするなど、不安定になることがある。涙を流し、自分の名前、地名、家族の名前を言い、ここがどこなのか分からないと訴える。しばらく起きてもらうがすぐに「しんどい、横になりたい。」と言い、目が離せない状態となる。立ち上がって歩こうとするため、転倒のリスクが高い。また、不安が高まると、食事を拒否する。安心してもらうよう話をするが、数分後には忘れてしまうため、同じことの繰り返しである。

Ⅱ.<この事例で課題と感じている点>

週3~4回の頻度で現れる帰宅欲求があり、不安定な状態になると目が離せない。
難聴でありコミュニケーションを取ることが難しいこと。
一度安心してもすぐに忘れてしまい同じことの繰り返しであり、不安な思いが消えない。

Ⅲ.<キーワード>

家に帰りたい。 ここがどこなのか分からない。 不安。

Ⅳ.<事例概要>

年  齢 100歳代前半
性  別 女性
職  歴 専業主婦
家族構成 娘4人(うち長女、次女死去)。(四女キーパーソン) 夫は死去。
認知機能 HDS-R 1点
要介護状態区分 要介護4
認知症高齢者の日常生活自立度 Ⅲa
既 往 歴 腹部大動脈瘤・神経因性膀胱・正式な診断名は不明だが、診断書に老人性認知症の記載あり
現   病 正式な診断名は不明だが、診断書に老人性認知症の記載あり・上部消化管出血
服 用 薬 フランドルテープ・ウリトス・トリプタノール・タケプロン・マグミット
コミュニケーション能力 難聴がひどく、大きな声でなんとか聞こえるが、ほかの利用者との会話は、困難。
性格・気質 わがまま。 几帳面。 人当たりは良い。 話し好き。
A D L 手を引き歩行可。寝返り、立ち上がり、座位保持、起き上がりはつかまれば可。
排泄・排便はトイレにて一部介助。食べこぼしはあるが食事は自立。
障害老人自立度 B2
生きがい・趣味 和裁・刺し子
生 活 歴 長女と二人暮らしであったが、その長女が急死する。その日に転倒し、右手第5指骨折裂傷にて入院(2ヵ月)。長女の死に大きなショックがあり、認知症が進行する。家の周りをシルバーカーで散歩する元気な方であった。入居時より、多動、昼夜逆転、夜間頻尿により不眠となっている。病院に受診するが薬の効果が見られず、夜間不安のため、常に誰かにかかわってほしいとの思いがあり、常に職員が対応している。長女の死は忘れている。キーパーソンの四女が介護困難なため、施設入居となる。
人間関係 キーパーソンである四女が月に1回程度面会に来ている。帰りたいと言ったら、「明日娘が来る」と言ってくれたらいいと言われている。
本人の意向 帰りたい。 横になりたい。 ここがどこか分からない。
事例の発生場所 特別養護老人ホーム
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