Aさんは、週に3~4回の頻度で帰宅欲求があり、ふいに立ち上がったり大声を出したりするなど、不安定になることがある。涙を流し、自分の名前、地名、家族の名前を言い、ここがどこなのか分からないと訴える。しばらく起きてもらうがすぐに「しんどい、横になりたい。」と言い、目が離せない状態となる。立ち上がって歩こうとするため、転倒のリスクが高い。また、不安が高まると、食事を拒否する。安心してもらうよう話をするが、数分後には忘れてしまうため、同じことの繰り返しである。
週3~4回の頻度で現れる帰宅欲求があり、不安定な状態になると目が離せない。
難聴でありコミュニケーションを取ることが難しいこと。
一度安心してもすぐに忘れてしまい同じことの繰り返しであり、不安な思いが消えない。
家に帰りたい。 ここがどこなのか分からない。 不安。
年 齢 | 100歳代前半 |
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性 別 | 女性 |
職 歴 | 専業主婦 |
家族構成 | 娘4人(うち長女、次女死去)。(四女キーパーソン) 夫は死去。 |
認知機能 | HDS-R 1点 |
要介護状態区分 | 要介護4 |
認知症高齢者の日常生活自立度 | Ⅲa |
既 往 歴 | 腹部大動脈瘤・神経因性膀胱・正式な診断名は不明だが、診断書に老人性認知症の記載あり |
現 病 | 正式な診断名は不明だが、診断書に老人性認知症の記載あり・上部消化管出血 |
服 用 薬 | フランドルテープ・ウリトス・トリプタノール・タケプロン・マグミット |
コミュニケーション能力 | 難聴がひどく、大きな声でなんとか聞こえるが、ほかの利用者との会話は、困難。 |
性格・気質 | わがまま。 几帳面。 人当たりは良い。 話し好き。 |
A D L | 手を引き歩行可。寝返り、立ち上がり、座位保持、起き上がりはつかまれば可。 排泄・排便はトイレにて一部介助。食べこぼしはあるが食事は自立。 |
障害老人自立度 | B2 |
生きがい・趣味 | 和裁・刺し子 |
生 活 歴 | 長女と二人暮らしであったが、その長女が急死する。その日に転倒し、右手第5指骨折裂傷にて入院(2ヵ月)。長女の死に大きなショックがあり、認知症が進行する。家の周りをシルバーカーで散歩する元気な方であった。入居時より、多動、昼夜逆転、夜間頻尿により不眠となっている。病院に受診するが薬の効果が見られず、夜間不安のため、常に誰かにかかわってほしいとの思いがあり、常に職員が対応している。長女の死は忘れている。キーパーソンの四女が介護困難なため、施設入居となる。 |
人間関係 | キーパーソンである四女が月に1回程度面会に来ている。帰りたいと言ったら、「明日娘が来る」と言ってくれたらいいと言われている。 |
本人の意向 | 帰りたい。 横になりたい。 ここがどこか分からない。 |
事例の発生場所 | 特別養護老人ホーム |