・糖尿病、高血圧、ひざ痛があり、内科、整形外科、心療内科にかかっている。
・13種類の薬を服用している。
処方薬の副作用などは把握していますか。
薬の説明書きがあります。また、3ヵ所の医療機関を受診していますが、お薬手帳を活用した一元的管理はできているようです。
この方を主に診ているのは、何科の医師ですか。
内科の医師ということです。
認知症の専門医を受診していますか。
専門医ではありませんが、心療内科にかかっています。
(2)身体的痛み、便秘・不眠・空腹等による苦痛の影響は考えられますか?
糖尿病によって空腹感やイライラがあることが考えられる。
どのような事実からそのように考えましたか。
「仏壇に置いた甘いものなどを食べてしまう。」「隠れて食べてしまう。」との夫の話がありました。内科の医師からも、「甘いものは食べないように。」と言われているとのことです。
ひざ痛があり、歩行時は杖を使用しており、足を曲げるのが苦痛。
血圧は服薬により安定している。
睡眠薬の処方を受けているようですが、睡眠状態は良好ですか。
現在は良好と聞いています。
(3)悲しみ・怒り・寂しさ等の精神的苦痛、また本人の性格等の影響は考えられますか?
・自信家、自立心が強い。
・「結構です。」自分のことは自分でしたい。
・自分の弱いところは見せたくない。
・大切な物がなくなったり、盗られたりすると訴える。
・被害の覚えがあるのに理解していない。
「自分のことは自分でしたい」というのは本人の言葉ですか。
排泄介助をしようとしたとき、「結構です、分かりますから。」と、ぴしゃりとトイレのドアを閉める様子から、「自分のことは自分でしたい」意向があるのではと考えました。また妄想を心配した夫が、本人の財布の中身を抜いたところ、デイサービスが終わるころになって、「お財布の中身がないわ。」「これでは車で帰れないわ。」と言って困っていました。そのことから、自分の意思でお金を使いたい気持ちがあるのだと思いました。
(4)音・光・味・におい・寒暖等感覚的な苦痛を与える刺激の影響は考えられますか?
真夏なのに冷房の効いた室内にいることで、「こんな季節に私がコートを着てこないわけがないじゃないですか。」と話す。
本人にとって適切な温度でしたか。
施設の空調設備に問題があります。冷房を入れると寒くなり、入れないと蒸し暑くなってしまいます。そのときは冷房が入っていたと思います。
自宅にいても夕方暗くなると、「誰かがのぞくから」と言って、家の中のすべてのカーテンを閉める。
いつごろからこのような行為がありますか。
「半年くらい前から」と夫より聞いています。
このような言動について主治医に相談したことはありますか。
確認したところ、相談していないとの夫の話でした。相談するように勧めました。
(5)家族・介護者など周囲からの過剰、あるいは少なすぎる関わりの影響は考えられますか?
・Aさんのできないことが増えてきて、いまでは家事の多くを夫が行っている。
・これまでAさんに対して親切すぎるケア(過剰なケア)が行われていたかもしれない。
具体的にどのようなケアですか。
以前利用していたデイサービスで、濡れた下着を替えるよう執拗に声掛けや説得が行われていたと担当ケアマネジャーから聞いています。妄想についても同様のかかわりが行われていたと思われます。
本人は料理が好きな人だったが、今は火を使う料理は夫が行っています。家庭内での役割は減少しています。
利用初日、私が本人の同意を得てかばんを開き、入浴の支度がしてあることを確認し、Aさんに説明をした。その行為自体が余計なことと思われたかもしれない。
そのように判断した具体的な本人の言動等はありますか。
そのときは、「お風呂に入っていきますか?」の問いに、「いいえ、結構です。」と答えただけでした。
(6)障害程度・能力の発揮に対して、住まい・器具・物品等物的環境による影響は考えられますか?
自宅内の様子については、今のところ詳しい情報がない。
これから家族やケアマネジャーと連携しながら、アセスメントを行う必要があると考えている。
(7)要望・障害程度・能力の発揮と、アクティビティー(活動)とのズレによる影響は考えられますか?
・Aさんの思いや認知症の中核症状の状態把握が十分でない。
・Aさんの中では自分はまだまだできると思っているが、できることへの支援が不十分である。
自分はまだできると思っている、と判断した具体的なAさんの言動などがあれば書いてください。
デイサービスでは、トイレの場所を覚えることができています。また、昼食後には自分で鏡を見ながら化粧を直しています。そのほか、日本の歳時記の雑誌記事を読んでいるとき、「難しそうですね。」と声掛けをしてみると、「そんなことないですよ。」と言ってページをめくっていました。漢字の読みのクイズを答えてもらっても、正解率は100%でした。
(8)生活歴・価値観等に基づいた暮らし方と、現状とのズレによる影響は考えられますか?
豊かな子供時代を過ごし、習い事が好きで、結婚してからも模範的な主婦であった。病気になる以前は、「かゆい所に手の届く行き届いた主婦でした。」と夫が話す。商売をしていた父親からもらった「指輪」を今も大切に身につけている。Aさんは、社交的できちんと挨拶をするが、その反面かたくなで周囲と打ち解けない様子が見られる。
家族との関係はいかがですか。
夫との関係は良好ですが、近所に住む息子が、Aさんの妄想により「泥棒にされている」のだそうです。
自宅にいる時間が長く、社会的な場での交流や参加の機会が減少している。
いつごろからですか。
数年前にひざの関節の手術をしたころから、アルツハイマー病の進行が顕著になりました。それまでは、書道、水泳、コーラスなどの趣味も多かったと聞いています。