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事例概要 事例63

タイトル:結構です、自分のことは自分でしますから

Ⅰ.<事例の状況>

 Aさんは市内のデイサービスを利用していたが、妄想・帰宅欲求・尿失禁と介護拒否があり下着を替えてくれず、対応が困難となっていた。約1ヵ月前より当施設(デイサービス)を利用するようになった。かつては「社交的で明るく、かゆい所に手が届く行き届いた主婦だった」と夫が話してくれた。利用初日「ここの男の人にコートを盗られた」という妄想が起こる。自宅では誰かがのぞいていると言い家のカーテンを全部閉める、息子が食べ物を盗った、という訴えがある。Aさんは自宅の風呂をのぞかれることを心配している様子で、入浴ができず自宅で週1回湯を浴びる程度である。清潔の保持が難しい現状がある。デイサービスで入浴を勧めても、「結構です。」と言って入浴しない。

Ⅱ.<この事例で課題と感じている点>

 物盗られ妄想などがあり周囲の人とのコミュニケーションが思うようにならない。
 清潔を保つ工夫が見当たらず、家族・本人ともに困っている。
 妄想の対象者となった場合の本人へのかかわり方(家族の場合と援助者の場合それぞれに)。

Ⅲ.<キーワード>

 余計なことをする人がいる。
 いつも誰かに見られている気がする。
 自立心・介護拒否・もの盗られ妄想。

Ⅳ.<事例概要>

年  齢 70歳代後半
性  別 女性
職  歴 専業主婦
家族構成 夫と二人暮らし(近所に息子の住居あり)
認知機能 アルツハイマー型認知症軽度(認知症スケールの情報なし)
要介護状態区分 要介護2
認知症高齢者の日常生活自立度 Ⅱb
既 往 歴 糖尿病・高血圧・ひざ痛・アルツハイマー型認知症
現   病 糖尿病・高血圧・ひざ痛・アルツハイマー型認知症
服 用 薬 ・内科8種類
 バイアスピリン、ミカルディス、アマリール、セイブル、リバロ、アダラートL、プレタール、アクトス
・整形外科3種類
 ペオン、アシノン、ボルタレンゲル
・心療内科3種類
 グラマリール、アリセプト、マイスリー
コミュニケーション能力 妄想や介護拒否などからトラブルに発展しやすい半面、職員やほかの利用者には丁寧に挨拶をする。ひととおりの会話はでき理解力もある。
性格・気質 言葉遣いや服装はいつもきちんとしている。おしゃれ。社交的で自立心が強く自分の意志を曲げない。表情が硬く打ち解けることがない。
A D L ひざ痛があり杖歩行
障害老人自立度 J1
生きがい・趣味 父親にもらった思い出の指輪を今も大事にしている。以前は家の中のことのすべてを自分で切り盛りしていた。コーラス、クラシックの音楽が好みである。
生 活 歴 実家は商家で、貴金属を扱っていた。幼いころから長唄、三味線を習い歌が好きであった。結婚してからは専業主婦として家計を切り盛りしていた。
人間関係 コーラスの仲間とは今も交流がある。以前通っていたデイサービスではトラブルが続いていた。自己主張が強く、妄想などを認めてもらえない状況があると訴えが強くなり、人間関係が疎遠になっていた。
本人の意向 「結構です」。自分のことは自分でしたい。
事例の発生場所 在宅(自宅・デイサービス)
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