・退院時には、アモバン、リスミー、アリセプト、グラマリール、ワルファリンカリウム、グランダキシンを服用していたが、現在はワルファリンカリウム以外全て中止している。
・便秘がちになり、排泄が滞り、下剤を服用するようになった。
上記の薬を服用していた時期と、失禁が見られるようになった時期とは、関係があるでしょうか?
グランダキシンの服用後に失禁が始まり、医師に相談し、入院前に服用を中止しています。
(2)身体的痛み、便秘・不眠・空腹等による苦痛の影響は考えられますか?
・食事、水分の摂取量が減少し、脱水傾向による発熱が見られた。
・就寝時の発汗が毎日のように見られた。
静脈血栓症による痛みや浮腫、その他の症状があり、排泄に伴う姿勢の変換による苦痛が出現しているというようなことは考えにくいでしょうか。
痛みの訴えや浮腫はありませんでした。入院時の検査でも、静脈血栓症について医師からの説明などはありませんでした。
(3)悲しみ・怒り・寂しさ等の精神的苦痛、また本人の性格等の影響は考えられますか?
・自分が存在することで、他に迷惑がかかることを極端に心配している。
・几帳面。
失禁状態が続いていることを、Aさんがどのように感じているかを尋ねたことはありますか。
あります。当時はAさんに確認しても、無反応な状態でした。現在は元気になっています。当時のことを、「身体がうまく動かなくて、トイレに行くことができなかったの。」と話しています。そのためパッドで排泄をしていたそうです。
(4)音・光・味・臭い・寒暖等感覚的な苦痛を与える刺激の影響は考えられますか?
居室で失禁することで尿臭がしているが、本人はあまり気にならない様子。
尿臭が気にならないのは、臭覚の機能が低下していることによるためでしょうか。それとも、外界に対する関心が低くなっているためと考えられますか?
外界に対する関心が低くなっているためと考えられます。
(5)家族・介護者など周囲からの過剰、あるいは少なすぎる関わりの影響は考えられますか?
・夫、長女の面会は頻繁にあり、介護にも協力的である。
・本人は、「夫は何もできない。お金もない。」と思い込んでいる。
Aさんが、排泄に関して、職員に関わってもらうことについて、どのような思いを抱いているか分かりますか?
自分で何でもできることをしていた方で、とても几帳面でまじめな性格の方でした。職員に支えられてトイレに行くことや、排泄介助をされることを、とても嫌だと感じていたと思います。
(6)障害程度・能力の発揮に対して、住まい・器具・物品等物的環境による影響は考えられますか?
パッドを使用していることでの安心感が逆効果になっている。
「私がトイレを使うと汚れてしまうから。」と話していますが、過去にトイレを汚してしまったこと、あるいはそのことで嫌な思いをしたと思われるようなことがありましたか?
入院時の病院での状況は詳しく分かりませんが、グループホームでは、朝方シーツを汚してしまったことがありました。Aさんはとてもショックを受けていました。
(7)要望・障害程度・能力の発揮と、アクティビティー(活動)とのズレによる影響は考えられますか?
パッドをしていることでの違和感があり、「外したい」と思っている。
「・・・違和感があり、外したいと思っている」ことと、「・・・パッドのみ自分で交換する」行為とは、どのような関係があると考えていますか?
Aさんは、「パッドは汚れたら取り換えればいいと思っていた」そうです。パッドをしていれば、トイレへ行かなくて済む(スタッフに介助されることが嫌だったと考えられます)、でも、本当は自分でトイレで排泄したい気持ちもあり、身体が動かないジレンマがあったと思います。
(8)生活歴・価値観等に基づいた暮らし方と、現状とのズレによる影響は考えられますか?
トイレで排泄する、との価値観がなくなった。
上記の、「価値観がなくなった。」との表現が少し理解し難いのですが・・・。説明を加えてください。
援助者の答え
この言葉は、会話の中でAさんが話した内容です。自分の身体が思うように動かなくなり、できていたことができなくなっていく自分のことを、「価値観がなくなった。」と表現し、話したのだと思います。