入居前に精神科の治療を受け症状が改善し、グループホームに入居となる。入居当初は、家族との外出や部屋での読書、音楽鑑賞等自分の時間を自由に過ごせ、自己決定が行えていた。入居後3ヵ月後頃から、発汗が見られるようになり、自室に飾られていた写真や絵を「見たくない」と言い片付け始める。その後、食事等の拒否が出始め、娘や息子を探すようになり、精神的に不安定な日々を過ごす。家族の希望もあり、なじみの病院で精神科の治療を受けることにより症状が改善するのでは?とのことで、入院治療を行った。退院後の状況は当初、入院した時とは異なり、様々なBPSDが見られた。主なBPSDは失禁、拒食、幻覚、介護拒否、徘徊、歩行障害等が出現していた。
1.台所作業(食事)の準備に執着があり、それでかえってストレスとなっている。
2.下剤に対する不信感があり、服用することが難しい。
3.家族との関わり(お金の心配や閉じこもった生活)。
歩行困難。無表情。拒食。介護拒否。
年 齢 | 70歳代半ば |
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性 別 | 女性 |
職 歴 | 教員 |
家族構成 | 夫と二人暮らし |
認知機能 | HDS-R 30点(入居当初) 退院後実施困難 |
要介護状態区分 | 要介護4 |
認知症高齢者の日常生活自立度 | M |
既 往 歴 | 自律神経失調症 レビー小体型認知症 下肢深部静脈血栓症 |
現 病 | レビー小体型認知症 下肢深部静脈血栓症 |
服 用 薬 | ワルファリンK錠 |
コミュニケーション能力 | 意思疎通は可能だが、言われたことを信用せず、猜疑心が強く見られる。 |
性格・気質 | 社交的。世話好き。陽気。几帳面。苦労性。責任感が強い。 |
A D L | 食事は声掛け誘導。排泄は自立。入浴・着脱に関しては一部介助が必要。 |
障害老人自立度 | B1 |
生きがい・趣味 | 今現在は見られない |
生 活 歴 | 多数の兄弟の長女として出生。10歳頃に病気を患い、家族と離れ祖母と同居する。子供の頃から「一流のものを見なさい、分からなくてもいいから美味しいものを食べなさい」との父からの教えで、映画を見たり、舞台を見たり、お洒落をしたりして過ごした。学校卒業後教員の資格をとり、教師として仕事をする。職場に勤め始めて10ヵ月で現在の夫と出逢い、結婚する。夫の転勤があり、本人は講師や営業職をしながら生活をしていたが、決して裕福な家庭ではなく、お金には苦労した。夫の両親と、自分の両親の介護、看取りを経験している。夫との間には2児を授かっている。 |
人間関係 | 社交的で近所との付き合いや、趣味活動の友人がたくさんいた。 |
本人の意向 | どこにも出掛けたくない。 |
事例の発生場所 | グループホーム |