・疾病の影響の可能性もあると思われる。
・逆さまつ毛があり、眼科通院時に抜いている。
・目がゴロゴロするとの訴えがあり、眼科医によると「ドライアイが原因でないか。」と診断を受けている。現在、ドライアイ改善のための点眼薬が処方されている。
・眼科に通院しているので、「まぶしさ」などの症状を説明し、眼科医の見解を聞いてみる必要がある。
妄想めいた発言が聞かれるとのことですが、Aさんなりの根拠に基づいた発言と思われますか?あるいは、レンドルミンなどの服用薬の副作用による影響は考えられますか?
まぶしさについては、光量が多い場所であり、Aさんなりに事実と根拠に基づいた発言であると考えられます。私たちもまぶしさを感じる場所でした。看護職員やスタッフとも副作用について話し合いましたが、薬の影響はほとんどないのではないかとの結論になりました。
(2)身体的痛み、便秘・不眠・空腹等による苦痛の影響は考えられますか?
膝の痛みの訴えが、一カ月に1度くらいの頻度で聞かれる。「薬をつけたかどうか」自問自答している様子である。
(3)悲しみ・怒り・寂しさ等の精神的苦痛、また本人の性格等の影響は考えられますか?
マイペースな方であるが、社交的な一面も見られる。
薬や医療に依存心が強い言動がしばしば聞かれる。
薬、医療に依存することは、Aさんにとってどんな不安の裏返しだと考えられますか?
今回、Aさんにたずねたところ、「誰か身近な人がそばにいたらいいわね。」との返答がありました。日常生活の中では、悲壮感や寂しさを感じさせる言動や表情はあまり見られませんが、心の中を察すると、家族と離れた生活の中で、寂しさや孤独を感じているのかもしれません。
(4)音・光・味・におい・寒暖等感覚的な苦痛を与える刺激の影響は考えられますか?
・リビング内で食事をする際、「まぶしいから眼が痛くて。」と話し、夕食時に、「居室で食べたい。」との要望が聞かれることが多い。「まぶしいから目がつぶれる。」と話したこともある。
・照明の真下の席で食事をしている。
まぶしさを訴えることは、夕方に多く聞かれますか?朝昼の状況や日差しの下での活動時はいかがですか?
3ヵ月前に、まぶしさへの対応として座席の場所を移動しています。当初は蛍光灯の下の座席であり、日中は日差しが強い場所であったため、事実まぶしさを感じることが多い場所であったと思います。場所を変更して以降、「まぶしいから目がつぶれる。」といった発言はほとんど聞かれなくなりました。
(5)家族・介護者など周囲からの過剰、あるいは少なすぎる関わりの影響は考えられますか?
・困ったときに、「家族に連絡をしてみたい」との要望がたびたび聞かれていたが、ここ数カ月はその要望があまり聞かれなくなっている。家族の面会は一カ月に1~2度である。
・「家族に目薬を買ってきてもらわなきゃ。こんな所にいられない。」という訴えの後、「電話をかけてほしい。」という訴えがあったが、電話をしてほしいといった要望が聞かれなくなっている。
面会時のAさんと家族は、それぞれどのような様子ですか?
部屋で末の娘と会話しているときが一番、甘えている様子が見受けられます。
家族以外の親類やなじみの人の訪問などはありますか?
ありません。
他の入居者とのかかわり、関係はいかがですか?
食事のときに同席する方々とは会話をしています。
関係は良くも悪くもない感じです。
(6)障害程度・能力の発揮に対して、住まい・器具・物品等物的環境による影響は考えられますか?
誰でも居室の中に入ることができる環境。扉に施錠はしていない。そのため、他者から物を盗られる恐れを感じており、たんすを他人にいじられないように、細工をしたりしている。
ホームにおけるAさんにとってのくつろげる場所、快を感じられる場所はありますか?
落ち着いて過ごす場所は居室のようです。居室のベッドで過ごしているときは、「ここにいれば物を盗られる心配がないから。」と話しています。社交的な性格でもあり、居室に他利用者がいないことが分かると、リビングに来て同席者と会話を楽しみ、くつろいでいます。
(7)要望・障害程度・能力の発揮と、アクティビティー(活動)とのズレによる影響は考えられますか?
・目薬をさしたという認識がなく、訴えが頻繁に聞かれている。短期記憶障害の進行が見受けられる。
・1日4回という点眼の時刻を憶えられなくなっており、時刻をスタッフに何度もたずねることがある。
・点眼の表を部屋に掲示しているが、大半は見ていない。見てもらうが、「まだ一回もさしてないわよ。」と話す。
・説明は時間をかけて行うが、「嘘ばっかり言っているんじゃないわよ。」と怒りだす。
Aさん自身が自分で点眼する能力はいかがですか?
能力的には回数の判断ができないため、際限なく点眼する可能性が高いです。自己管理も困難だと思われます。
(8)生活歴・価値観等に基づいた暮らし方と、現状とのズレによる影響は考えられますか?
・自分で目薬をさしていた習慣があるため、管理されていることを不満に思っている発言が時々聞かれる。回数を把握できなくなっているため、入居以前から既に目薬は管理する方法がとられ、現在も職員が管理している。
・施設に暮らしているという認識がなく、病院あるいは病院のような建物と捉えているが、そのことに対しての不満は聞かれていない。
Aさんがホームで生活することを、自身でどのように意味づけしていますか?
最近、「施設で生活していることは分かっている。」と話しています。子どものそれぞれの生活も理解しており、施設で生活することを受け入れていると話していました。