一日4回行う眼科処方の点眼薬がある。点眼を行ったことを10分程度で忘れてしまうことがほとんどである。点眼薬をさしても「一度もさしていない」と話す。このほかにも「誰も目薬さしてくれない」点眼後には「違う目薬をさされた。目がつぶれたらどうしてくれるの」と怒りをあらわにすることもある。職員で管理している目薬を「私にちょうだい!」と捜すこともある。目薬にかかわらず、物盗られ妄想がある。ただし、物盗られ妄想は、居室変更を行ってからは軽減してきている。
本人が目薬に執着せずに、穏やかに安心して生活してもらいたい。
妄想。薬。執着。不安。
年 齢 | 80歳代後半 |
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性 別 | 女性 |
職 歴 | 両親の自営業手伝い |
家族構成 | 長男夫婦と同居していた |
認知機能 | HDS-R 9点 |
要介護状態区分 | 要介護2 |
認知症高齢者の日常生活自立度 | Ⅱa |
既 往 歴 | 60歳代後半 右人工膝関節置換術 左変形性膝関節症 80歳代半ば 脳梗塞 |
現 病 | 両膝の疼痛はあるが、日常生活に大きな支障はない。 |
服 用 薬 | バイアスピリン錠・エパデールS・プロテカジン錠・デパス錠・ペオン錠・アローゼン・レンドルミン錠・キプレス錠・ラキソベロン液・ボルタレンゲル |
コミュニケーション能力 | 気分が良いときは明るく朗らかである。他者とも気さくに話す。マイペースである。スタッフに対しては目薬の訴えや物盗られ妄想が見られるときには、一方的に疑念を持ち興奮し攻撃的に話す場面が日常的に見られるようになっている。 |
性格・気質 | 朗らか・親しみやすい |
A D L | 自立(歩行器使用) |
障害老人自立度 | A1 |
生きがい・趣味 | 動物に愛着がある |
生 活 歴 | 学校を卒業し、両親が経営する店で手伝いをしていたとのこと。食材の買い出し・料理・掃除などの準備を手伝っていた。兄は身体が弱く若くして亡くなり、姉とともに少女時代は手伝いをしていた。20歳ごろ、職場で知り合った男性と恋愛結婚した。結婚後は子ども(4男1女)をもうけ、店の手伝いを離れ家事・育児に専念した。Aさんは仕事の経験はないと話している。歌謡曲が好きで、いろいろ聞いていたとのこと。特に犬や猫が大好きで、「動物園へ行きたいです。」と明るい表情で語っていた。 |
人間関係 | 「家族との関係については良好だった」と、本人・娘からも聞いている。 |
本人の意向 | 安心して暮らしたい |
事例の発生場所 | 特別養護老人ホーム |