・アルツハイマー型認知症。
・高血圧症や糖尿病のため、血糖値を下げる薬や血圧を下げる薬を服用している。
・便秘により、夕食後には下剤を常用している。
たくさんの疾患を持ち、多くの薬を服用していますね。これらの薬の処方を全体的に管理している人はいますか?
主治医です。
便秘に対して下剤が処方されていますが、服薬と腹痛との関係は感じられませんか?
排便前に落ち着かない様子があります。
(2)身体的痛み、便秘・不眠・空腹等による苦痛の影響は考えられますか?
・便秘症状があり、下剤を服用しているため、腹部の痛みや苦しみがある。
・椅子に座り過ごす時間が長いため、身体が痛く苦痛である。
・下肢にむくみがあり、足が痛むことや重くだるい時がある。
多くの時間に苦痛を伴う状況が続いています。Aさんの易怒性は苦痛が少ないときには軽減されるのでしょうか?
軽減されていくと思います。リラックスできた状態であれば他者とのコミュニケーションも図りやすいのではないかと思います。
(3)悲しみ・怒り・寂しさ等の精神的苦痛、また本人の性格等の影響は考えられますか?
・物事にこだわりやすく、世話好き。(家族から知ったかぶりだとの話あり)
・いろいろ世話をしたいと思っているが理解されない。(他者に邪険に扱われる)
・話をしたいのに気づいてくれない。
・話をしても自分が伝えたいことが、うまく言葉にできない。
・自分でできないことが増えてきて、世話になるのが辛い。
・自分の気持ちを分かってくれる人がいない。
もとの性格と現在の混乱とが重なり合っているように感じますが、あなたや支援職が関わることによって、Aさんの気持ちが楽になったことがあれば教えてください。
普段の何気ない声掛けに「ありがとう。」と涙を流します。起床の際、「寝坊してしまって。」と必ず言うが、寝坊していないことを伝えると、「そうかい。」と安心した様子です。
(4)音・光・味・臭い・寒暖等感覚的な苦痛を与える刺激の影響は考えられますか?
・洗面所やトイレなど、人が集まる場所の側でいつも過ごしており、気が休まらない。
・仕事をする音や声(茶碗を洗ったり、お茶を配ったり)が聞こえ、自分も何かしなきゃと考えてしまう。
・自分の側を通る人が多すぎて、誰に話せばいいか分からない。
反応ができない時やいらいらした時に環境を変えることで穏やかになったことがあれば教えてください。
散歩に行くとびっくりした様子もありますが、興奮が収まることがあります。トイレ誘導を行い排泄後落ち着くことがあります。部屋で休んでもらい少し眠ると落ち着くことがあります。
(5)家族・介護者など周囲からの過剰、あるいは少なすぎる関わりの影響は考えられますか?
・家族(子供)の面会は、キーパーソンの長男は3ヵ月に1度位の面会である。
・Aさんが日々過ごしている場所が洗面所やトイレの近くであり、側を通る人は多いが話し掛けることは少ない。
側にいて話し掛けることでAさんが安定したことがあれば書いてください。
落ち着いている時には、スタッフや他の利用者の声掛けに対して、笑顔で応えています。イライラして気分の高揚が見られる時には、声掛けを行うと更に興奮してしまいます。そのような時には時間を置いて声掛けを行っています。
(6)障害程度・能力の発揮に対して、住まい・器具・物品等物的環境による影響は考えられますか?
・水回りのすぐ側でいつも過ごしているのに、使用したコップなどは職員が下げてしまう。(自分で片付けをし、洗うことができるかもしれない)
・お茶を飲みたい時に飲めるような道具も遠い場所にある。
Aさんには何か愛着がある道具や品物がありますか?
特にありません。自身のアルバムを自宅より持参していますが、理解していない様子です。
(7)要望・障害程度・能力の発揮と、アクティビティー(活動)とのズレによる影響は考えられますか?
何か仕事をしたいと思っており、タオルたたみ等を行ってもらうこともあるが、Aさんはタオルたたみだけではなく、台所仕事や他人のこともいろいろ世話をしたいと思っている。
タオルをたたむことに対して、Aさんの感想を聞くことはできましたか??
タオルをたたむ作業はあまりうまくできておらず混乱してしまうこともあるため、現在はテーブルをふいてもらう作業をしてもらっています。御礼を言うと「いいんだよ、皆忙しいんだから。」と言ってくれます。
(8)生活歴・価値観等に基づいた暮らし方と、現状とのズレによる影響は考えられますか?
家族から、昔から働くことが生きがいのような人だった、との話があり、さまざまな仕事をしてきている。(工場、飲食店、まかない、清掃業など)昔からの経験や技術を発揮できる場がない。
とても働き者だった人が何もできなくなったと思うことは辛いでしょうね。あなたや支援職の人によってAさんの笑顔が見えた経験があれば教えてください。
ユニット内でおやつ作りをして、職員や他の利用者と皆で食べる時、何かケアを行った時、「ありがとう。」と言ってくれる時もあります。散歩や畑作業など外での活動の時は表情も良いです。