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事例概要 事例17

タイトル:糖尿病があり、食事量が決まっているがもっと食べたいAさん

Ⅰ.<事例の状況>

 Aさんは、食事が終わった後も落ち着きなく他の食事を食べている人の周りを歩き回っている。Aさんの席に誘導しお茶をすすめる。職員が他のコール対応でその場を離れて戻ってみると、Bさんの脇に立って、右に箸を持って左手で一口大のパンを食べていた。「これはAさんの食事ではありませんよ。」と言うと、「そうなの・・・」と言っていた。

Ⅱ.<この事例で課題と感じている点>

 Aさんは、食べることが大好きだが、糖尿病があり食事量が決まっている。食べたい気持ちをどうしたらよいのか。

Ⅲ.<キーワード>

 もっと食べたいのに。

Ⅳ.<事例概要>

年  齢 90歳代前半
性  別 女性
職  歴 専業主婦
家族構成 長男と同居
認知機能 測定できず
要介護状態区分 要介護5
認知症高齢者の日常生活自立度
既 往 歴 心筋梗塞
現   病 アルツハイマー型認知症 糖尿病 冠動脈硬化症
服 用 薬 アマリール(朝食後)・マグラックス錠
コミュニケーション能力 難聴があり、耳もとで話をするとつじつまの合わないこともあるが、その場の会話は成立する。白内障により視力は殆どないというが、どの程度視力があるのか定かではない。
性格・気質 穏やかである。
A D L 食事は自立。排泄は声掛け、誘導、見守りが必要。入浴・着脱は全介助。
障害老人自立度 A2
生きがい・趣味 書道が好き。人・草花を愛でての散歩、温泉と食事が好き。
生 活 歴 学校を卒業し、20代半ばで結婚して当県へ。子供は3人。40歳代で夫が他界。当市には40年程前より在住している。3人の子供たちで協力し合って母の介護に当たる予定で、自宅を建て替えている。
80歳頃から、食事の合間にジャムを1瓶食べてしまったり、片付け物のつもりで、ゴミ・洗った物・汚れた靴・新聞・書類などをあっという間に袋につめたり、一人で出かけ、帰れなくなり、パトカーや商店の方に送ってもらうことが多くなった。夜間にトイレの場所を探し、下着のままで外へ出たり、トイレ(大便)の失敗で部屋中を汚したり、下着・汚れ物を隠し、またそれをはいたりしていた。
同居の息子は、うつ状態となり仕事もおぼつかなくなる。経済的な問題、家族の問題意識の相違があり、介護サービスの増量や施設利用は進まなかった。
その3年後要介護2から要介護5に変更、その3月後に「不適切な対応」の問題に関して行政の介入もあり、これ以上の在宅生活は困難との判断により、施設の利用を検討し始めていたが、家族間での意見調整がつかず利用を断っていた。しかし1年後には冷蔵庫から生肉250g、ラッキョウの大瓶1つを食べてしまったということがあり、家族の合意が出来、急遽施設入所になる。
人間関係 穏やかで、他の利用者との関係も良い。キーパーソンは娘たち。
本人の意向 おいしいものをたくさん食べたい。
事例の発生場所 特別養護老人ホーム
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