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事例概要 事例51

タイトル:私のしたいことを分かって、話を聞いたり、何か仕事ができるようにして欲しい

Ⅰ.<事例の状況>

穏やかに過ごしているが、世話好きな性格で、他利用者が前に座っていると何でも手を出してしまう。他利用者からの反応がなかったり、他利用者や職員の言動を見たり聞いたりしたことによって混乱し、大声を上げたり、乱暴な行為や暴言を浴びせることがある。

Ⅱ.<この事例で課題と感じている点>

興奮してしまうと、他者に対しても暴言や乱暴な行為が見られ、他利用者との円滑なコミュニケーションが図れず、孤独になってしまうことが考えられる。

Ⅲ.<キーワード>

本人のストレスと他者との円滑な交流。

Ⅳ.<事例概要>

年  齢 90歳代半ば
性  別 女性
職  歴 工場、飲食店、清掃業、まかない等
家族構成 夫とは死別している。子どもは2人。
認知機能 測定できず
要介護状態区分 要介護4
認知症高齢者の日常生活自立度 Ⅲa
既 往 歴 糖尿病、高血圧、白内障手術、子宮脱
現   病 糖尿病、神経因性膀胱、子宮脱、高血圧症、腰椎圧迫骨折、白内障、アルツハイマー型認知症
服 用 薬 グラマリール細粒・エブランチルカプセル・フランドル錠・シグマート錠・グリミクロン錠・バイアスピリン錠・プルゼニド錠
コミュニケーション能力 会話はできるが、時折他者の話に混乱し会話全体が理解できず落ち着かなくなることがある。聞こえにくいこともある。
性格・気質 元来几帳面で物事にこだわりやすく礼儀正しい性格。世話好きな一面もある。
A D L ・食事:ほぼ自力でとれる。
・排泄:日中は紙パンツ使用にてトイレへの誘導を行うが、常に失禁状態で尿意は低下。便意は多少ある様子。夜間はオムツ使用。
・入浴:洗身は一部介助、洗髪は全介助にて行う。
・歩行:長距離は車椅子使用。短距離は歩行器を使用しての歩行可能。
・着脱:衣類の着脱は、一部介助が必要。
・整容:一部介助が必要。
障害老人自立度 B1
生きがい・趣味 何か仕事をすること、畑仕事も好き。
生 活 歴 20歳代前半で結婚し、子どもは2人。若い時には、工場や飲食店、清掃業、まかないの仕事をしていた。約35年前に夫と死別し、それ以後、長男夫婦の家に同居していた。10年程前、近所の人から、本人の行動がおかしいとの指摘あり、何度も郵便局に行き、通帳と印鑑を失くしたと主張して作り直すようになる。同じころに糖尿病のため左足背側が壊死寸前とのことで入院。その後も、白内障の手術のため入退院を繰り返すが、徘徊やまとまらない言動も見られていた。次第に夜間不眠、夜中に荷物をまとめ「自分のうちに帰る」等の言動が増えた。
7年程前、長男の妻に付き添われ病院を受診する。服装や頭髪にはやや無頓着な印象、動作は緩慢。難聴も存在し「頭おかしくなっちゃったから答えられないんだ」と何度も繰り返す。見当識・記憶に関しても確認できず、意識障害の存在も否定できないとの所見あり、介護保険申請を勧められた。その後、特養に入居となり現在に至る。
人間関係 息子は3ヵ月に1度の来園、娘は半年に1度の来園。他利用者との関係は、日により他者との会話が理解できず混乱し、暴言や乱暴な行為などを起こすこともある。
本人の意向 できることは自分でしたい。仕事をしたい。
事例の発生場所 特別養護老人ホーム
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