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事例概要 事例39

タイトル:安心して暮らしたい

Ⅰ.<事例の状況>

 Aさんは施設生活の不満を口にし「他人が部屋に入ってくる」「物が盗まれる」「ここには安心していられない」等を訴え、特に洋服に関しては「盗られた」との訴えがある。時には大声を出し、廊下を歩き「○○の掛け軸、盗ってやれ、盗ってやれ」と叫んだりする。軽作業を積極的に行っているときは穏やかであるが、居室に戻っていると幻聴が聞こえ大きな声を出し、「ここにはいられない。息子に迎えに来てもらう。」と不満を口にしている。

Ⅱ.<この事例で課題と感じている点>

 Aさんと関わる時間が不足している。
施設に対し不安や不満を感じている。

Ⅲ.<キーワード>

 不信感。 本人のストレス。

Ⅳ.<事例概要>

年  齢 80歳代後半
性  別 女性
職  歴 農家の手伝い 食品工場
家族構成 一人暮らし
認知機能 HDS-R 21点
要介護状態区分 要介護1
認知症高齢者の日常生活自立度 Ⅱb
既 往 歴 アルツハイマー型認知症、潰瘍性大腸炎、白内障
現   病 アルツハイマー型認知症、潰瘍性大腸炎、高血圧症、慢性胃炎、末梢循環障害
服 用 薬 セロクエル・アリセプトD錠・アシノン・メチコバール・アムロジン・オルメテック・オリザチーム・サラゾピリン
コミュニケーション能力 他の利用者とは積極的に会話し、スタッフの動きを見て「大変なお仕事だね。」と話している。家族の電話番号は自ら言えるが、掛けることは困難である。電話で話すことに支障はない。知人の面会を受ければ誰であるかは判り、つじつまを合わせつつ会話をする。
性格・気質 信仰心があつい。 気丈。
A D L ほぼ自立。 狭い場所では一部介助が必要。
障害老人自立度 A2
生きがい・趣味 人とのおしゃべり。 軽作業。 漢字の練習。 塗り絵。
生 活 歴 農家の6人兄弟の長女として生まれる。実家は農家の裕福な家庭で育っている。学校を卒業し結婚後、夫は工場に勤め、Aさんは、農家の手伝いに行ったり、食品工場にて働いたりしていた。子供は5人をもうける。夫が病死し、一人暮らしとなる。70歳代頃から物盗られ妄想のような訴えが聞かれている。
その後徐々に幻聴がひどくなり、亡くなった夫の親戚がAさんの掛け軸を送ってくれていたが、「○○の掛け軸、盗ってやれ、盗ってやれ」と聞こえるようになり、自宅の縁の下から泥棒が入ってきて物が盗まれるとの訴えが頻回になり、Aさんも一人で夜を過ごすのは不安に思い当施設に入居となる。
人間関係 仲の良い方に対しては思いやりを示し、世話を焼く優しい一面がある。気に入らないことに対し突然かっとなり怒り出してしまうが、トラブル等はない。家族の面会は毎月一度息子が面会に来ている。
本人の意向 穏やかに暮らしたい
事例の発生場所 特別養護老人ホーム
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