起床時や午前中は精神的にも落ち着いており、穏やかに過ごしているものの、午後から特に思い当たることがないのに何度も居室を出入りし、「あっちへ行ってくる。」「背中に子供が何人もいて重いから助けてほしい。」との訴えが聞かれている。その後、徐々に息も荒くなってきて動けなくなってしまったりして、疲労感がうかがえる。スタッフが付き添い子供を受け取るジェスチャーをすると、徐々に落ち着きを取り戻していくことが多い。しかし、ほぼ毎日のように上記の状態に至り精神的にも不安定になっている。
ほぼ毎日のように上記の状態に至るため、精神的にも困ぱいしており「死にたい。」「どこかに行ってしまいたい。」との発言が多く、本人がストレスを感じていたり悲壮感に満ちている。
揺れる思いと寄り添う介護者
年 齢 | 80歳代半ば |
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性 別 | 女性 |
職 歴 | 飲食店経営 |
家族構成 | 夫(死別)、長男(死別)、長女、次女 |
認知機能 | HDS-R 6点 |
要介護状態区分 | 要介護4 |
認知症高齢者の日常生活自立度 | Ⅲa |
既 往 歴 | 肺炎 |
現 病 | 脳血管性認知症 |
服 用 薬 | サアミオン錠 プルゼニド錠 ラキソベロン液 |
コミュニケーション能力 | 介護者の問いに答えることはできるものの、言葉が上手に話せず聞き取ることが難しい。 |
性格・気質 | 穏やかできれい好き。 |
A D L | 食事は、食べこぼしはあるも自立。排泄は、最近失禁が多くリハビリパンツ使用。尿意もあまりなくトイレ誘導実施。移動に関しては、車椅子自操。着脱は、首を通せば自分で行うことが可能。入浴に関しては、洗身は細部のみスタッフが介助を行う。また、洗髪はスタッフが行っている。 |
障害老人自立度 | B1 |
生きがい・趣味 | 菓子類を食べたり、他者へあげること。 |
生 活 歴 | 内縁の夫との間に3人の子供をもうける。その後、内縁関係の夫と離別し、同時に子供とも疎遠になってしまう。その後、結婚するが事故で夫と死別。以降、単身生活となる。単身となってからは飲食店を経営し生計をたてる。10年程前より認知症の症状が出現し、日常生活も、不規則な食生活・火の不始末等といった問題が多くなり在宅生活が困難な状況が続き、当施設入居となる。 |
人間関係 | 不明 |
本人の意向 | 落ち着いて暮らしたい |
事例の発生場所 | 特別養護老人ホーム |