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事例概要 事例18

タイトル:「眠れない」が口ぐせのAさん

Ⅰ.<事例の状況>

 「眠れない」が口ぐせのAさん

Ⅱ.<この事例で課題と感じている点>

Aさんは、他の入居者が静かに寝静まる21時以降も自分の居室でテレビを見ていることが多い。そっと足音をしのばせて、「眠れる薬ある?毎晩もらっているんだけど・・・」と夜勤職員に聞くことが習慣となってしまった。家族の情報では在宅でも睡眠薬を永年服用していたという。センター方式B2(私の生活史)の情報がぴんと来て、「Aさん、私も眠れないの。一緒に一杯やろうよ。」お砂糖を一さじ入れた湯呑みのお茶に、つまみは残り物の漬物。静まり返った食堂の片隅に明かりは電気スタンドひとつ。Aさんは「効くねー。何だか目が回って眠くなったよ。」千鳥足で自分の居室に向かったAさんは、朝までぐっすり眠ることができた。

Ⅲ.<キーワード>

 眠れないから眠れる薬が欲しい。 センター方式B2私の生活史。 私も眠れないの。

Ⅳ.<事例概要>

年  齢 80歳代後半
性  別 女性
職  歴 工場勤務 調理手伝い 仲居 飲食店経営
家族構成 入居前は一人暮らし
認知機能 NMスケール66点
要介護状態区分 要介護3
認知症高齢者の日常生活自立度 Ⅱb
既 往 歴 糖尿病 高血圧症
現   病 腰痛症 狭心症 便秘症 アルツハイマー型認知症
服 用 薬 アリセプト・ハーフジゴキシンKY錠・ニトロールRカプセル・ビオフェルミン・酸化マグネシウム・モーラス
コミュニケーション能力 好きな話題は自分から言葉で上手に伝えることができる。笑顔が多く、その場の雰囲気に合わせて言葉を選んで会話できる。
性格・気質 人が好きで、寂しがり屋の面もある。先妻の子供を育てたが、現在は「その子供の世話にならずに自分で何でもやりたい。」と言うのが口癖。
A D L 排泄はパッドを使用するが基本的には自立。 移動、食事は自立。 入浴は見守り。
障害老人自立度 J2
生きがい・趣味 料理 歌うこと
生 活 歴 A県生まれ。B県の料亭に働く姉を頼って、見習いに入る。戦後、女の子が2人いる男性の後妻に入り、娘たちが成長し結婚する。昭和50年代頃から夫の退職金で駅前に飲食店を開き、自分は店の2階に住んで仕入れから料理を担当し、従業員が2~3名の店を切り盛りする。夫は先立つが、店が大事と張り切っていた。飲食店を閉店しても、店の2階に一人暮らし。5年程前、服薬を忘れたり食事をとらないことから娘が受診をすすめて、認知症の診断を受けた。その1年後、一人暮らしの限界と娘が判断して、グループホーム入居となった。
人間関係 自分の話を聞いてくれる人がいると朗らかに過去の体験を楽しそうに話すのが好き。弱い人や助けを求められる場面に出会うと、一生懸命手助けをして、喜んでもらうのが好き。ひとりぼっちになるとお金の心配をして塞ぎ込んだり涙ぐむことがある。
本人の意向 誕生日に欲しいものを聞かれると「かっこいい男」と答える面もあるが、答えながら、それが冗談と分かる常識がある。子供には迷惑を掛けたくない思いで、自分自身のこともお金のことも、すべて自分で解決したいと常に心配している。
事例の発生場所 グループホーム
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