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事例概要 事例70

タイトル:怪我やヒヤリハットすることが絶えないAさん

Ⅰ.<事例の状況>

グループホーム入居当初のころは、不安定ながらも自力歩行できていた。しかし、徐々にふらつきや転倒、ベッドからのずり落ちなど下肢筋力の低下、バランスの不均衡が目立つようになる。歩行器の使用や夜間ポータブルトイレの使用を勧めるも、急な立ち上がりや歩き出し、方向転換、腰くだけがあるために、絶えず目が離せない状況になる。最近では、行動がせっかち、粗雑化が加速し、他人からの抑止が効かない状況である。食事は熱いものや量を多く口の中に入れむせる、割り箸で唇を突いて怪我をしても食べ続ける、入れ歯が気になり出し入れを繰り返し破損する、夜間ポータブルトイレの移乗を繰り返し、座り損なうなどの事故、ヒヤリハットすることが頻発している。ケアスタッフは、大事故につながらないように気が抜けない。Aさんは、そのことを察知してか精神状態が落ち着かないと、昼夜とも排尿回数が増え、トイレの行き来を繰り返している。

Ⅱ.<提供者自身が感じている事例の課題>

スタッフが予測していないことが突発的に起き、繰り返されるため、目が離せない。また、言動による危険回避が効かないので、環境整備やマンツーマン対応を行うも、Aさん、介護スタッフ共にストレスが溜まる状況にある。従って、大きな事故につながる可能性がある。

Ⅲ.<事例概要>

年齢・性別 90歳代前半・女性
職  歴 専業主婦
家族構成 夫は1年前に死去(死去6ヵ月前 当ホームで一緒に過ごす)
子供は2男1女(別居)
認知機能 入居時 HDS-R 11点   現在 HDS-R 8点
要介護状態区分 要介護3
障害老人自立度 A1
認知症老人自立度 Ⅱa
ADLの状態 ①食事の様子 一部介助
②排泄の様子 一部介助
③移動の様子 一部介助
④着脱の様子 一部介助
⑤入浴の様子 全介助
⑥整容の様子 一部介助
認知症の診断名 老人性認知症
現病・既往歴 【現病】
 脳梗塞後遺症・パーキンソン病・高血圧症

【既往歴】
 脳梗塞・うつ病
服 用 薬 メネシット・エクセラーゼ・ブロプレス・セルシン・アジャストコーワ
コミュニケーション能力 一方的に固執したことを繰り返し話す。他者の言葉が聞き入れにくい。
性格・気質 せっかち・負けず嫌い
生きがい・趣味 読経・競い合うゲーム・カルタ・歌を口ずさむこと
生 活 歴 本人とは対照的な、ゆっくりマイペースな夫と暮らす。戦争体験(外地からの引き揚げ)の話をする。
人間関係 他者との会話は少ないが、人が歌っていると一緒に口ずさむ。
週1回の息子たちの来訪は喜んでいる。
本人の意向 自分の意のままに過ごしたい。
「ここに泊めてもらえますか。」と毎晩言う。
事例の発生場所 グループホーム
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