DC博士のワン・ポイント

認知症予防について

運動が一番

 運動することで認知症リスクが低下するという多数の研究成果があり、運動が認知症予防では一番確実な方法です。では、なぜ運動が脳に効くのか? 運動することは筋肉を動かすことです。そうすると、筋肉から或る指令が出て、神経細胞を育てるホルモンが脳で増えます。こうして神経細胞、とくに記憶と関連した海馬の神経細胞が増えます。そして記憶力がアップします。また、運動で脳が大きくなる(容積アップ)も示されています。逆に、体を使わない状態(たとえば寝たきり)では、脳が萎縮していきます。筋肉や骨と一緒で、脳は体を動かすことで維持されるのです。

 では、どんな運動が有効かというと、筋肉を使うのが目的ですから、どんな運動でもOK。ジムに通うのも、外を走るのも素晴らしいですが、家の中でも運動はできます。それではとっておきを紹介しましょう。第一に床の雑巾がけ。二番目が洗濯機を使わないで手で洗濯すること、このように家事で体を使えば運動です。また、家の中でテレビを見ながら、その場でジョギングしてもOK。私のおすすめは朝ドラその場ジョギング。月曜~土曜まで週6日、朝ドラの15分間、前に進まないでその場でジョギング、これなら雨でもOK、テレビも見られ、毎日習慣化するのにうってつけ、なのです。

認知症介護研究・研修東京センター
センター長 粟田 主一