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事例概要 事例65

タイトル:興奮して、同じ訴えを繰り返す90歳代女性

Ⅰ.<事例の状況>

医療の対象となる疾患がないと思われるのに、繰り返し腹痛を訴える。何かにつけ「私は目が見えないから○○できない!」と大きな声で話す。目は不自由だが、スタッフをはっきり見分けており、相手によって訴えの強弱、訴えの内容が異なる。
 いったん訴えが始まると、夜中でも同じことを大声で繰り返すため、周囲のほかの入居者も落ち着かない状況となる。
 「おなか痛い!」のほか「足痛い!」「家族に電話する!」など、訴えはほぼ決まっている。

Ⅱ.<この事例で課題と感じている点>

スタッフのかかわり方を統一することが肝心だと考えるが、大声を出されると、他者への影響を恐れてか、ついスタッフの対応が「黙ってもらおう」と先を急ぎがちになる。それは、本質的な解決にならないばかりでなく、ケアの統一を難しくしている。

Ⅲ.<キーワード>

大声。「おなか痛い!」。ケアの統一。

Ⅳ.<事例概要>

年  齢 90歳代半ば
性  別 女性
職  歴 事務職
家族構成 夫(25年程前に死別)。子供は複数。
認知機能 測定未実施
要介護状態区分 要介護3
認知症高齢者の日常生活自立度 Ⅲb
既 往 歴 気管支喘息・高血圧・糖尿病・左大腿骨転子部骨折術後
現   病 難聴・緑内障
服 用 薬 テオドール錠・コリネールL錠・ラシックス・リボール錠・抑肝散エキス顆粒・セレキノン錠・ラックビー微粒・酸化マグネシウム・セロクエル
コミュニケーション能力 本人の気分に大きく左右される。興奮時は何も見えなくなり、聞こえなくなる。
性格・気質 朗らか・温和。好き嫌いがはっきりしている。自分の意思を堂々と表現できる。
A D L 移動は手すり歩行か這っている。食事は自力で取れるが、目の前のひと皿かふた皿のものしか食べられない。排泄は、ほぼ全介助。入浴はかなりの介助を必要とする。
障害老人自立度 B1
生きがい・趣味 複数の子供を皆「上の学校」へやったことが誇り。食べること・おしゃべりすることが大好き。
生 活 歴 学校卒業後、事務の仕事をしていた。結婚後は、子育てに専念する。25年程前に夫の死後、長男宅に同居。3年程前から認知症の症状が目立ち、2年程前から老健。その1年後に骨折で入院後、グループホーム入居となる。
人間関係 温和で、争いを好まない。仕事はマイペースで、仕切るのが好き。
本人の意向 年寄りは家族がみるもの。家族が迎えに来て、連れて帰ってほしい。目も耳も不自由だから一人にしないでほしい。
事例の発生場所 グループホーム
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