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事例概要 事例50

タイトル:帰りたいのに帰してもらえない

Ⅰ.<事例の状況>

在宅からの入居で1日目より早足で棟内外をほとんど休むことなく歩き回る。「家に帰りたい」という訴えで棟外へ出ようとする時は話を聞いたり説明したりしているが、行動範囲が広く動きも早いので行動を把握することが難しく、デイケアの利用者に嫌がられる。入居時は夜間も良眠していたが除々に寝付けず覚醒時間が長くなっており、本人も帰りたいのに帰してもらえないからか、職員の声掛けに怒りっぽくなり話を聞いてくれなくなってきている。

Ⅱ.<この事例で課題と感じている点>

常に歩き回り行動範囲が広く目の届かないこともあり、黙って施設から出て行ってしまうのではないかと心配。。

Ⅲ.<キーワード>

離設・家に帰りたい

Ⅳ.<事例概要>

年  齢 80歳代半ば
性  別 女性
職  歴 結婚後は専業主婦であったが夫の実家の畑や稲作、時々漁師の手伝いをしていた。50歳位までは土木業に従事していた。
家族構成 夫と二人暮らし。 近所に長女夫婦が在住している。
認知機能 HDS-R3点
要介護状態区分 要介護2
認知症高齢者の日常生活自立度 Ⅲa
既 往 歴 白内障 便秘症 神経因性膀胱
現   病 アルツハイマー型認知症
服 用 薬 バップフォー・アリセプト
コミュニケーション能力 視力、聴力は問題なく簡単な内容での受け答えはできる
性格・気質 優しく穏やか 働き者
A D L 食事は全粥、超キザミ食。気分によって食べないことあり。声掛け見守りが必要。
排泄はリハビリパンツ・尿取りパッドを着用している。トイレの場所がわからず失禁があるので、定時の排泄誘導や行動を観察しての誘導が必要。移動は独歩、早足や駆け足をするため声掛けが必要。転倒はない。入浴は洗身、洗髪介助が必要。
障害老人自立度 A11
生きがい・趣味 演歌・懐メロが好きでカラオケが得意である。大正琴を以前は弾いたらしい。。
生 活 歴 出生時に母が亡くなり継母からのいじめや差別を受けながら生活してきた。(雨水を飲んで空腹をしのぎお腹をこわしたことがあり、今でも水分を摂ることを嫌がることがある)職場で紹介された夫と30歳頃結婚し、子供3人をもうける。夫は鉄鋼業の下請け会社で働いていた。子供が独立した後は夫との二人暮らしであったが5年程前から物忘れ、家計の管理ができない、炊飯器を数回ガスコンロで火にかける等の認知症の症状有り。2年程前よりデイサービスを利用している。主介護者の夫が白内障の手術で入院の際もそのことを忘れ、「夫がいなくなった」と騒いだこともある。夫も可能な限り在宅で生活をさせたいと希望していたが、本人の認知症の進行や、夫の介護疲れのストレスによる体調不良で、在宅生活の継続が困難となり、当施設へ入居し現在に至る。
人間関係 夫と長女夫婦の面会があるが、週1回あるかないかであるる
本人の意向 出来れば家に帰りたいが、ここにいるなら楽しく過ごしたいい
事例の発生場所 介護老人保健施設
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