認知症を発症し、自宅から娘宅へ引越しをして、デイサービスを受けながら生活する。その後、当グループホームに入居。得意の家事作業をして生活するが、認知症が進行し、夜間の不眠、終日の焦燥感により「どうして、どうして」「早く、早く」等落ち着かなくなったり、強い口調で他者に攻撃したりするなどが目立ち、利用者間のトラブルも多くなってきた。不穏時は個別に散歩に出たり、買い物に車で出かけるなど気分転換が出来ることもあったが、徐々に集中できる時間が少なくなり、個別の対応でも気分が和らがないことが多い。1日おきくらいに家族の面会があり、一時は気分が落ち着くが、焦燥感や混乱のほうが強く、スタッフに対する訴えも多くなり、スタッフ自身がストレスを抱えてしまう状態が目立っている。
終日聞かれる焦燥感の訴え、徘徊によりグループホームの中でその行動が目立ち、他者とのトラブルがあり、スタッフがストレスを感じ、思いに添ったケアが出来ない。
本人とスタッフのストレス
年 齢 | 90歳代前半 |
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性 別 | 女性 |
職 歴 | 主婦業の傍ら自営業を営む夫を手伝ってきた。本人が70歳代後半の時に廃業。 |
家族構成 | 娘(複数) |
認知機能 | NMスケール重度 |
要介護状態区分 | 要介護5 |
認知症高齢者の日常生活自立度 | Ⅳ |
既 往 歴 | 胆石、卵巣膿腫、白内障手術 |
現 病 | 認知症 |
服 用 薬 | テトラミド 一日おきに夕食時 |
コミュニケーション能力 | 気分によっては呼び掛け、声掛けに返事、笑顔がある。不穏な時には一方的に訴えがあり、耳からの情報を理解することが困難。 |
性格・気質 | 穏やかではあるが、気に入らないことがあったり、本人では理解できないことがあると怒る。 |
A D L | 食事は一部~半介助。歩行は膝の痛みをかばいながらであるが可能。 トイレ誘導を行い、時間を要するが排泄可能。(失禁ほとんどなし) 入浴は気分の良い時にゆっくり関われば家庭浴で入浴可。 |
障害老人自立度 | A2 |
生きがい・趣味 | 家事全般 |
生 活 歴 | 戦前、戦中、戦後と長男の嫁として両親、小姑の世話、娘たちの教育に休むことなく動いてきた。 主婦業の傍ら自営業を営む夫を手伝ってきた。本人が70歳代後半の時に廃業。 婦人会長など地域の活性化のために尽くした。 趣味の遊び等せず主婦の鑑と呼ばれていた。 実生活に必要なことは何でも得意(洋裁含む)。 |
人間関係 | 娘夫婦(キーパーソン)の面会が頻繁にある。遠方に住む娘達の面会も時折あり、大切にされている。つじつまの合わない言動が多く、他利用者との会話はほぼ困難である。 |
本人の意向 | 穏やかな生活 |
事例の発生場所 | グループホーム |