「認知症でもだいじょうぶ」町づくりキャンペーン

「町づくり2008モデル」決定


   今年5回目を迎えた「認知症でもだいじょうぶ」町づくりキャンペーンは、全国から多岐にわたる総数70点の応募をいただきました。
   去る12月18日(木)に行われた「町づくり2008モデル」地域活動推薦委員会(委員長 堀田力 <財>さわやか福祉財団理事長)において慎重な検討の結果、下記の7点の活動が「町づくり2008モデル」に決定しました。
   決定にいたらなかった活動へも、「今後も継続的に活動に取り組んでいただき、町づくりが展開していく経過をまたご報告いただきたい」という委員の声が寄せられていました。認知症でもだいじょうぶな町づくりにむけた様々な活動が全国で着実に広がってきています。ご応募いただいた全ての方に御礼申し上げるとともに、全国の自治体や多くの方々に「町づくり2008モデル」の活動をはじめとする全応募活動を参考にしていただければと思います。
   下記7点の活動は「『認知症でもだいじょうぶ』町づくりキャンペーン2008発表会」(2009年3月7日(土)東京・草月ホール)において顕彰され、各応募者より活動発表が行われます。

 ■「町づくり2008モデル」(全7点、応募先着順)

  1)「仲間と共に、若年認知症をイキイキと!」
若年認知症グループ どんどん(神奈川県川崎市)
  2)「公立中学校の空き教室・花壇を住民(認知症者を含む)と中学生が協働作業を通して認知症を全校区民が正しく理解する」
社会福祉法人 リデルライトホーム(熊本県熊本市)
  3)「認知症メモリーウオーク・千葉」
第2回 認知症メモリーウオーク・千葉実行委員会(千葉県)
  4)「目黒たけのこ流・認知症ネットワーキング」
目黒認知症家族会 たけのこ(東京都目黒区)
  5)「親父パーティーが地域を変える!〜認知症地域資源ネットワーク『NICE!藤井寺』の構築〜」
社会福祉法人 藤井寺市社会福祉協議会(大阪府藤井寺市)
  6)「であう・ふれあう・わかちあう 認知症の人の見守り支援『あんしんメイト』」
NPO法人 認知症サポートわかやま(和歌山県和歌山市)
  7)「地域と共に歩む老人ホームを目指して」
社会福祉法人 ゆうなの会 特別養護老人ホーム大名(沖縄県那覇市)

1.「町づくり2008モデル」最終推薦結果・活動の概要・推薦理由(応募先着順、敬称略)

1) 「仲間と共に、若年認知症をイキイキと!」
  若年認知症グループ どんどん(神奈川県川崎市)
  応募代表者:中川 和子
<活動の概要>
 若年性認知症当事者及びご家族、サポーターが、当事者や家族の思いを共有し、社会参加にも繋がる場を生み出すべく、川崎市認知症ネットワークを母体としてグループを発足。川崎市内を中心に、「@サロン活動、A家族懇談、B本人が描いた絵をプリントしたTシャツや絵ハガキなどの自主製作・販売活動、C啓発活動」を展開している。当事者の「役に立ちたい、働きたい」の声を生かしたこれらの活動を通して、他の地域の家族会、福祉専門職、その他多くの人々の賛同と協力を得、そこからさらに若年性認知症支援の地域ネットワークへと発展させることを目指し、活動に取り組んでいる。
【推薦理由】
・若年であればあるほど「働きたい」という気持ちが強いことをしっかりと受けとめ、創作活動から生まれたものを商品化している。自主制作のTシャツやせっけんの地域イベント等での販売を通じて、社会参加意識の醸成がなされ、確実に輪が広がっている。
・若年性認知症ならではの課題に対する本人、家族などの当事者主体の活動をサポーターが支えており、若年性認知症の人たちがいきいきと暮らすための指針になる活動である。
・何もないところから創意工夫でつくりあげていく力はすばらしく、本人を真ん中に据えた先駆的な取り組みであり、認知症介護の隙間となっている若年性認知症の人への取り組みモデルとして広がっていってほしい。
 
2) 「公立中学校の空き教室・花壇を住民(認知症者を含む)と中学生が協働作業を通して認知症を全校区民が正しく理解する」
  社会福祉法人 リデルライトホーム(熊本県熊本市)
  応募代表者:小仲 邦生
<活動の概要>
 中学校の隣接地にあった空き家を利用して、小規模多機能型居宅介護事業所を開設し、認知症支援の啓発や、地域の防犯・防災にも貢献。町内住民や中学生が認知症サポーター講座受講に加え、認知症の方と協働して、空き花壇での「草取り、花や野菜の栽培、収穫」という一連の関わりを持つことから、認知症を正しく理解し、学校は勉学だけでなく「人間力を培う場所」でもあり、また地域住民にとって「開かれた公的空間」である等の成果を得ることができている。
【推薦理由】
・事業実施委員会において、行政・PTA・民生委員・自治会・中学校長など、地域に携わる多くの住民が参加し、地域に根ざした活動が行われている。
・地域の人たちの意識を変えていくために、まず実態を把握し、進むべき道筋を示していく取り組み方がすばらしい。こうした地道な取り組みや方法が地域を変えていく力となり、今後のつみ重ねに期待できる。
・学校行事などに認知症の人が参加することで、中学生だけでなく、その保護者や教職員に対しての啓発効果・理解の普及にもつながっている活動であり、他の地域でもぜひ参考にしてほしい。
 
3) 「認知症メモリーウオーク・千葉」
  第2回 認知症メモリーウオーク・千葉実行委員会(千葉県)
  応募代表者:助川 未枝保
<活動の概要>
 世界アルツハイマーデーを中心に、世界各国でアルツハイマー病の理解を広める「メモリーウオーク」(パレード)が盛んに行われており、平成19年9月に日本初の「認知症メモリーウオーク」を官民協働で実施。認知症の方を含むさまざまな市民が気持ちを一つにして歩き、共に歩くことで閉じこもりがちな認知症の方とそのご家族の心を開くことに繋がっている。2回目となる今年は、県全域に参加者を募る広域型と小規模な地域型を実施。2年連続で参加した韓国アルツハイマー病協会会長が、ソウル市内で韓国初の「メモリーウオーク」を実施するなど、活動発信が海外へも広がっている。
【推薦理由】
・パレードという短発的な活動のようではあるが、実行委員会方式により準備から当日まで様々な立場の人が協力しあい、その過程のつながりが当日のパレードに結実している。
・今年は2回目の取り組みであり、県下に着実に広がりをみせ、海外への広がりも見られる。認知症の人をより良く理解してもらうためのPR効果も高く、成果が上がっている。他の地域への波及可能性も高い。
・認知症の人の参加にも力点が置かれており、当日は車イスの人も含む多くの人が共に参加し、当日参加できない人もメッセージをかいた「うちわで参加」するなど、本人が主役となる配慮・工夫が見られる。広域型・地域型に分けての開催で地域に応じた展開がされており、今後の発展が期待できる。
 
4) 「目黒たけのこ流・認知症ネットワーキング」
  目黒認知症家族会 たけのこ(東京都目黒区)
  応募代表者:竹内 弘道
<活動の概要>
 平成10年から活動している地元の家族会が中心となり、活動を支えてきた保健師のノウハウを活かし、平成16年から体験型認知症啓発イベント「たけのこ広場」を開催。「個別相談会」「介護者交流会」「体験ミニデイ」「認知症ミニフォーラム」などが実施されている。発足以来支援を受けてきた区や社協との協働のもと、問題を抱える家族を介護保険サービスに誘導するまでの役割を果たしている。首都圏の10数グループにより介護者の会ネットワークを結成し、交流イベント「介護なんでも文化祭」の開催から新たなネットワークが生まれるなど、協力の輪を広げている。
【推薦理由】
・家族が力を発揮しながら、本人・専門職(医療・保健・福祉)・地域住民に見事にネットワークの輪を広げてきた好例である。活動も日常的なものとイベントとを多彩に組み合わせており、家族会ならではの取り組みである。
・地道な活動が実を結んでいる。ネットワークづくりが多くの地域で課題となっている今、ネットワーク形成のプロセスは他の地域でも参考にできる。
・家族会の社会化として捉えることもでき、家族会が区の保健師に支えられながら自らの体験を語り、回を重ねることで一回り大きなグループへとなっている。全国にある家族会が今後各地で広がっていくための1つのモデルである。
 
5) 「親父パーティーが地域を変える!〜認知症地域資源ネットワーク『NICE!藤井寺』の構築〜」
  社会福祉法人 藤井寺市社会福祉協議会(大阪府藤井寺市)
  応募代表者:家田 葵、羽根 武志
<活動の概要>
 「(N)認知症になっても(I)いきいき暮らせる(CITY)町って(E)ええやん!」《NICE!藤井寺》をキャッチフレーズに保健所、市、社協、地域包括支援センターが事業を展開。退職後第2の人生として地域に帰った団塊の世代を対象としたボランティア育成事業 「親父パーティー」から「NICE藤井寺バンド」が結成され、市内の公園で音楽をテーマに認知症啓発を実施。「認知症高齢者キャンプ」を参考に開催したアウトドアイベントや他のボランティア団体と協力したイベントを経て、認知症は特別ではないという意識が広がり、「誰でも参加し、楽しめる」イベントを開催しながら、認知症への理解と支援の輪を広げている。
【推薦理由】
・日帰りアウトドアや公園イベントでは、様々な関係者が関わることで、認知症の人の理解を深める良いきっかけとなっている。団塊の世代の生きがいづくりと、ボランティアなどの人材発掘という成果も得られている。音楽を通じての啓発活動を行っている点も親しみやすく、発想がユニークである。
・認知症に特化した目線を強調しすぎず、自然に多くの人をまきこみ、参加者も楽しむことができる。
・親父の潜在力に着目したところが良く、地域文化をもふるいたたせる試みでもある。
・今後、団塊の世代が高齢者になっていく中で認知症の人も増えていくが、まさに団塊の世代である「親父」自身が認知症の理解を深めそれらを自分たちで広げていくことは、他の地域でもぜひ広がっていってほしい取り組みである。
 
6) 「であう・ふれあう・わかちあう 認知症の人の見守り支援『あんしんメイト』」
  NPO法人 認知症サポートわかやま(和歌山県和歌山市)
  応募代表者:林 千惠子
<活動の概要>
 家族の会から生まれたNPO法人が、和歌山市と協働で行う"認知症高齢者見守り支援事業"において平成18年に開始した「あんしんメイト」は、認知症高齢者とそのご家族の精神的負担や不安を解消・軽減する事を目的としている。「あんしんメイト」は養成講座のカリキュラムを修了して登録されるが、介護経験が条件となっており、認知症の人を看取り終えた家族の生きがいの場ともなっている。市内8か所の地域包括支援センターが窓口となり、訪問調査の上、認知症の方の性格・趣味・居住地域などを総合的に考慮したきめ細やかな派遣コーディネートが行われている。
【推薦理由】
・認知症の人を支えるには介護保険のサービスだけでは十分ではなく、「あんしんメイト」は認知症の理解から具体的支援に結びつける取り組みとして本人・家族を直接的に支える大切な活動を展開している。相談活動を大切にし、当事者のニーズに基づいた「見守り支援」のシステム化が図られている点がすばらしい。
・家族の会の活動の延長として、本人や家族の不安、負担の解消軽減に何が必要であり、どうしたら実践できるのかに対して、一つひとつを見事に活動につなげている。
・認知症本人を対等にみる起点も大切であり、「あんしんメイト」の活動は地域福祉全体を底上げしていく可能性を持っている。行政の関わり方の観点からも、市民・ボランティア・NPOと協働するあり方は参考となる。介護経験者のつながりや活躍の場になっている点も他の地域に広まってほしい。
 
7) 「地域と共に歩む老人ホームを目指して」
  社会福祉法人 ゆうなの会 特別養護老人ホーム大名(沖縄県那覇市)
  応募代表者:金城 満
<活動の概要>
 「地域と共に、ボランティアと共に歩む老人ホーム」をスローガンに昭和54年に開所した特別養護老人ホームでは、毎月第四金曜の夜に「ホーム喫茶」を開催し、入居者やご家族に加え、地域住民が、毎月訪れるゲストの余興や参加者同士のカラオケ十八番大会などを楽しむ。開催は300回を超え、施設の調理スタッフによる料理やお酒に舌つづみを打ちながら、時に笑い、時に議論を重ねることで施設と地域の連携強化が図られている。参加する自治会、小学校、地区社協などのネットワークから、祭り、防災、タクシー会社の協力によるピクニック、長寿祝いパレードなど、幅広い世代での地域交流が広がっている。
【推薦理由】
・300回続くホーム喫茶が地域住民の交流の場となっており、地道にかつ継続的に取り組まれている活動である点がすばらしい。
・特別養護老人ホームが地域の中核となって、地域住民の中に積極的に出ていって相互協力を行いながらネットワークを強化することで、地域のつながりの再生の場の役割を果たしている。堅苦しい取り組みでなく、地域の人々が自然体で楽しみながら輪が広がっている点がすばらしい。
・地域が過疎化している今、他の福祉施設にもぜひ学びとってほしい要素が多く、施設と地域の1つの「あるべき姿」を提示してくれており、とても参考になる。

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2.「町づくり2008モデル」推薦の経過

1) 推薦基準
@ 「認知症を知る」ための取り組み
地域の多様な人々が認知症と支援について理解を広めるための先進的な取り組みがなされている
A 認知症の人同士が出会い、話し合い、ともに参加する地域の活動
地域の認知症の人同士が出会い、自分たちの声や力を出しながら、参加する地域での活動が取り組まれている
B 地域にある生活関連領域の人々が参画・協働する取り組み
地域での住民生活に関連した多様な業種(商店、交通機関、金融機関など)や関係者が加わった先進的な活動が展開されている
C 地域の人々と行政が協働する取り組み
地域の人々と行政とが協働しながら、共に暮らす町づくりを進めている先進的取り組みがなされている
D 今後や他地域での展開可能性
今後さらに継続・発展する可能性や他の地域でも展開する可能性がある内容や方法であるる

2) 一次推薦
 平成20年11月14日の一次推薦委員会で推薦基準にもとづいて検討し、16点の地域活動を推薦候補とした。

3) 最終推薦
 平成20年12月18日の地域活動推薦委員会では、まず全委員によって16の地域活動について慎重に検討を行った。続いて、委員長の司会のもとで各委員からそれぞれの活動に対する推薦理由および課題点が述べられ、活発な討議の結果、全員一致で7点の推薦を決定した。

3.地域活動推薦委員 一覧

  氏 名 所 属
委員長 堀田  力 財団法人 さわやか福祉財団 理事長
委員 池田 恵利子 いけだ後見支援ネット 代表
江川 紹子 ジャーナリスト
勝田 登志子 社団法人 認知症の人と家族の会 副代表理事
北橋 健治 福岡県北九州市 市長
児玉 桂子 日本社会事業大学 教授
辰濃 和男 日本エッセイスト・クラブ 理事長
藤井 克徳 きょうされん 代表
町永 俊雄 NHKキャスター
村上 達也 茨城県東海村 村長
村田 幸子 福祉ジャーナリスト
吉田 一平 ゴジカラ村 代表
(五十音順・敬称略)

参考1:「認知症を知り 地域をつくる10カ年」について  (2005年4月厚生労働省資料より)
●認知症を知る1年−2005(平成17)年度
●「認知症を知り 地域をつくる10ヵ年」中間年−2009(平成21)年度
到達目標 ○認知症について学んだ住民等が100万人程度に達し、地域のサポーターになっている。
○認知症になっても安心して暮らせるモデル的な地域(以下のような地域)が、全国各都道府県でいくつかできている。
 ・認知症であることをためらいなく公にできる。(早期発見・早期対応)
 ・住民や町で働く人々による(ちょっとした助け合い)が活発。
 ・予防からターミナルまで、関係機関のネットワークが有効に働いている。
 ・かかりつけ医を中心とした地域医療ケアチームがきめ細やかに支援している。
 ・徘徊する人を町ぐるみで支援している。
●「認知症を知り 地域をつくる10ヵ年」−2014(平成26)年度
到達目標 認知症を理解し、支援する人(サポーター)が地域に数多く存在し、すべての町が認知症になっても安心して暮らせる地域になっている。

参考2:「認知症を知り 地域をつくるキャンペーン」について

本キャンペーンのおもな取り組み

◆「認知症サポーター100万人キャラバン」による住民・職域・学校講座
(5年間で100万人の「認知症サポーター」を養成)
http://www.caravanmate.com/

◆「認知症でもだいじょうぶ」町づくりキャンペーン
http://www.dcnet.gr.jp/campaign

◆認知症の人「本人ネットワーク」支援
(認知症の人本人と家族のネットワークづくりを応援)
http://www.dai-jobu.net/

◆認知症の人や家族の力を活かしたケアマネジメントの推進
(認知症の人本人と家族によるケアプラン作り)
http://www.itsu-doko.net/

※詳しくは認知症になっても安心して暮らせる町づくり100人会議ホームページをご覧ください。
http://www.ninchisho100.net


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