「認知症でもだいじょうぶ」町づくりキャンペーン2007

「町づくり2007モデル」決定


認知症介護研究・研修東京センター、大府センター及び仙台センターは、社団法人認知症の人と家族の会との共催、住友生命保険相互会社の協賛により、「『認知症でもだいじょうぶ』町づくりキャンペーン2007」を進めてまいりました。このたび「町づくり2007モデル」地域活動推薦委員会を行いましたので、お知らせします。

本キャンペーンは今年で4回目を迎え、2回目より厚生労働省および認知症になっても安心して暮らせる町づくり100人会議が進める「認知症を知り 地域をつくるキャンペーン」の一環として行われています。認知症の人の本来の力を活かしてともに暮らす町づくり活動を全国ではぐくむことを目的とし、また、今年度より厚生労働省がすすめる「認知症地域支援体制構築等推進事業」の進展を応援しています。

本キャンペーンは、関係各位のご協力により全国的にその募集が周知され、全国より49点の応募をいただきました。1月15日(火)に行われた「町づくり2007モデル」地域活動推薦委員会(委員長 堀田力 <財>さわやか福祉財団理事長)において慎重な検討の結果、以下のように「町づくり2007モデル」の活動が決定しました。

決定団体は「『認知症でもだいじょうぶ』町づくりキャンペーン2007発表会」(平成20年3月1日(土)東京・灘尾ホール)において顕彰され、各団体より活動発表が行われます。

 ■推薦された8団体(応募先着順)

  1)「認知症になっても安心して暮らせるマンション」
中銀インテグレーション株式会社(東京都中央区)
  2)「当たり前の権利である地域行事・老人会への参加を目指して」
社会福祉法人 ふるさと会 グループホーム福寿の家(高知県吾川郡いの町)
  3)「教科『奉仕〜認知症と地域について考える〜』授業」
東京都立拝島高等学校(東京都昭島市)
  4)「この町にこんな病院があったらいいな(地域にとけ込んだ認知症センターの取り組み)」
財団法人 豊郷病院 老人性認知症センター・オアシス(滋賀県犬上郡豊郷町)
  5)「おじいさん、おばあさん、いっしょにキャンプしませんか!認知症高齢者と楽しむ『あしがらシニアキャンプ』」
社団法人 日本キャンプ協会(東京都渋谷区)
/あしがらシニアキャンプ実行委員会(神奈川県南足柄市・足柄上郡5町)
  6)「認知症の人と家族のつどいと支援者養成研修」
社団法人 認知症の人と家族の会 富山県支部(富山県富山市)
  7)「若年性認知症デイサービス"おりづる工務店"の取り組み」
社会福祉法人 町田市福祉サービス協会 おりづる苑せりがや(東京都町田市)
  8)「地域の認知症の拠点としてのグループホームの活動」
特定非営利活動法人 ほのぼの朝日ネットワーク(岐阜県高山市)

1.「町づくり2007モデル」最終推薦結果・活動の概要・推薦理由 (応募先着順)

1) 「認知症になっても安心して暮らせるマンション」
 
<応募者名称・代表者>
 中銀インテグレーション株式会社(東京都中央区)
 応募担当者:久保田 雅子
 
<活動の概要>
 所属する業界団体の認知症サポーター講座をきっかけに、社内でも積極的に講座を実施したマンション管理会社。ゴミ分別方法が一目でわかるイラストを作成するなど認知症の方だけでなく小さな子供でもわかるような工夫をしたり、マンション管理員が地域包括支援センター職員と顔合わせして住人との連絡役となるなど、できることから実践。トラブルが回避されて住人からも安心の声があがるようになり、管理員のストレスも軽減。
 
【推薦理由】
・管理員が認知症を理解し、細やかな工夫をすることで、マンション内で認知症の人たちの暮らしやすさに向けた支えが生まれている。今後全国的に、マンション暮らしの認知症の人が増えていくことが考えられ、先駆的で重要な取り組み。
・日常生活の場であるマンションが安心して住める場になることはとても大切で、こういう取り組みがもっと広がって欲しい。管理員を置く全国の共同住宅の経営者に取り組んでもらいたい活動のモデルである。
・マンション管理員とともに、住人自身の理解と支えあいが広がっていくことが大切であり、この活動が継続的に発展していくことが期待される。
・マンションにとどまらず、この取り組みを参考に、スーパーや商店街など町の様々な生活領域で、その担い手が率先して動き出す活動が広がっていってほしい。
・認知症の方々が暮らしやすい場やコミュニティづくりは、子どもやその親たちにとっても住みやすい社会であると改めて考えさせてくれる活動である。
 
2) 「当たり前の権利である地域行事・老人会への参加を目指して」
 
<応募者名称・代表者>
 社会福祉法人 ふるさと会 グループホーム福寿の家(高知県吾川郡いの町)
 応募担当者:高橋 須美
 
<活動の概要>
 観光温泉施設を改装して観光施設と共存して建てられたこのグループホームは、山間部にあり開設当初は地域とのつながりが弱かったが、入居者と職員が小学校の運動会へ参加したことをきっかけに、ホームの祭りで地域住民をもてなすなど地域との結びつきが深まる。認知症サポーター講座を主催し、ホームが認知症の人の理解と支援を地域で進める拠点になりつつある。地域行事の参加の際に年齢の近い方と対話する入居者の姿には、凛とした社会人の顔がみられる。
 
【推薦理由】
・町の中心から離れた土地に建てられたグループホームや施設が少なくない現状で、その利用者が孤立しないで地域とつながって暮らし続けられるよう支援することが全国的に大きな課題になっている。このホームは不利な立地条件の中でも地域交流の試行錯誤を積み重ね、地元の人々との確かなつながりが築いており、その経緯を他地域でもぜひ参考にして欲しい。
・交流にとどまらず、過疎化が進む地元の課題解決にむけて、町の介護予防事業や認知症サポーター養成、移送サービスなどに積極的にとりくみ、地域にとってもかけがいのない場として定着してきている点は、過疎地域での共に支えあう町づくりのモデル。
 
3) 「教科『奉仕〜認知症と地域について考える〜』授業」
 
<応募者名称・代表者>
 東京都立拝島高等学校(東京都昭島市)
 応募担当者:手塚 比目古
 
<活動の概要>
 2007年度から実施された都立高校の指定科目、教科「奉仕」において、同じ地域に暮らしていても出会ったりその存在を認識したりする機会の少ない、視覚障害者や認知症の方について、隣人として暮らすための学びを実施。「明日の記憶」鑑賞、サポーター養成講座、SPSD(認知症模擬演技者)演習、事後学習で構成。学んだことを生かして、自分たちなりになんとか向き合って対応しようという気持ちが生徒に芽生えてきている。
 
【推薦理由】
・社会の中で活動の領域を広げていく年代である高校生に、授業として認知症の理解をはかり、実践的な知識と具体的な体験の機会を提供している点がすばらしい。
・授業を受けた学生たちの意識の変化が明確にとらえられており、学生が今後、地域の中で様々な波及効果を生み出してくれる期待が持てる。
・きめ細かいプログラムが他の参考となり、全国の学校で取り組むことが可能なモデルである。ぜひ各地で取り組んでほしい。
・授業の担当教員のみが企画するのではなく、キャラバンメイト、行政、NPO等と連携しながら、継続的した活動にむけて組織的な取り組みをしている。
 
4) 「この町にこんな病院があったらいいな(地域にとけ込んだ認知症センターの取り組み)」
 
<応募者名称・代表者>
 財団法人 豊郷病院 老人性認知症センター・オアシス(滋賀県犬上郡豊郷町)
 応募担当者:斉藤 容子
 
<活動の概要>
 「この町に、こんな病院、こんな施設やサービスがあったらいいな」を地域の皆さんとともに考え、活動してきた県指定第一号の認知症センター。総合病院の中に設置されたことを活かし、医療と連携をとりながら在宅介護を支援。早期診断へもつなげている。認知症の啓発活動として家族向けの学習会を開催、社協や医師会からの講演依頼も受け、地域での連携に尽力。家族へのサポート体制として、家族会とスタッフの会合も設けている。
 
【推薦理由】
・総合病院における認知症センターの設置が、その病院だけで完結せず、他医療機関、関連機関との連携を図っている点は重要。本来あってほしい姿であり、連携していくプロセスを、全国の病院で参考にしてほしい。
・病院が中核となって地域での取り組みを推進していることの、安心感が大きい。医療を拠点にしつつも、在宅ケアのサポートの充実、地域住民、家族との交流、生活関連領域との協働などに力を入れ、地域で暮らし続けられることを大切に取り組んでいる点が重要。
・まさに、わが町にこんな病院があったらいいなと思わせてくれる活動である。
 
5) 「おじいさん、おばあさん、いっしょにキャンプしませんか! 認知症高齢者と楽しむ『あしがらシニアキャンプ』」
 
<応募者名称・代表者>
 社団法人 日本キャンプ協会(東京都渋谷区)
 /あしがらシニアキャンプ実行委員会(神奈川県南足柄市・足柄上郡5町)
 応募担当者:金山 竜也
 
<活動の概要>
 「Camping for All(すべての人にキャンプを)」を理念に、認知症高齢者のキャンプを10年以上実施。毎年場所を変え、地域の行政、福祉、学校関係者の協力を得て、少子高齢社会のキャンプ場の新しい使い方を開発・普及するとともにキャンプのもつ地域づくりの可能性を伝えている。高齢者が「普段見られないようないい表情をされていた」だけでなく、高校生・大学生を中心としたボランティアも認知症にまつわる気づきを得ている。
 
【推薦理由】
・楽しいキャンプの中で認知症の人と一緒に過ごすということを10年以上の歴史の中で地道に取り組んでこられた実績がある。その中で認知症に対する体験的な理解を広めてきており、継続的に取り組まれている活動である点がすばらしい。
・自然とふれあう貴重な機会の中で、自然な形で世代間の交流ができ、支え合いも生まれている。認知症の人が持っている能力を発揮できる場となっている。また、キャンプを支えるスタッフの変化も生まれており、関わる人たちすべてに意義ある活動となっている。
・キャンプ設備の有無でなく、「話し合い、アイデアの出せるスタッフがいるところならばどこでもできる」ことが示されている。そんなことできる?という先入観で見るのではなく、若者が企画から参加し、いろいろなボランティアの参加と支えにより実現可能な活動である。全国各地で取り組まれることが期待される。
 
6) 「認知症の人と家族のつどいと支援者養成研修」
 
<応募者名称・代表者>
 社団法人 認知症の人と家族の会 富山県支部(富山県富山市)
 応募担当者:渡辺 清道
 
<活動の概要>
 認知症の本人を中心とした「つどい」は、昨年より、寒さの厳しい1月を除いて毎月開催。家族の会会員への支部報や県の高齢福祉課を通して案内。毎回、家族と支援者も合わせて40〜50人が参加し、認知症の本人は若年の方も含めて12〜13人参加。余暇活動のほか、専門職も対象にした支援者の養成講義や本人同士の話し合いを実施。本人や家族の交流が広がったほか、「あらためて認知症の人の心を知った」との声が専門職からもきかれる。
 
【推薦理由】
・各地に家族会は多いが、認知症の本人と家族が一緒に「つどう」ことは、まだあまり取り組まれていない。介護者の息抜きや学びのための活動であると同時に、本人たちのつどい、本人自身の活動の芽吹きを感じる活動である。
・専門職も含めたサポーター養成も共に行っている。家族や本人の力を最大限引き出す中で、専門職も多くのことを学んでいる。特に専門職から「こんなにゆっくり認知症の方にむきあったのははじめて」との声もあがり、実際の認知症ケアの変化につながっている。
・大きな仕掛けを必要とせず、定期的で丁寧な活動の継続、居場所を設け、そこから絆が生まれ、さまざまな活動に発展していく活動は他の地域でも展開できるものである。
 
7) 「若年性認知症デイサービス"おりづる工務店"の取り組み」
 
<応募者名称・代表者>
 社会福祉法人 町田市福祉サービス協会 おりづる苑せりがや(東京都町田市)
 応募担当者:前田 隆行
 
<活動の概要>
 「まだまだ働きたい」「今までの社会経験を活かして人の役に立ちたい」。こうした若年性認知症の方の声をうけ、『会社のような組織を作り、社会とつながる実感と仕事を成し遂げた充実感をもてる場所』として始まったデイサービス。保育園や市役所の協力をうけ、外部から"工務店の仕事"を受注。「まだ人の役に立てる、それが嬉しい」と"勤務"を楽しむ声があがる。介護保険サービスの一環として活動しているため、無償ボランティアだが、就労支援につながることを目指し、実績を積み重ねている。
 
【推薦理由】
・若年の認知症の方々への支援として、ただ客体とするのではなく、出来ることを通してその存在を自他ともに確認できる活動である。同時に、この仕事ぶりを大切なこととして認め合う社会や人々をつくる取り組みでもある。社会の人々が彼らにペースをあわせることでこの取り組みは大変素晴らしい。
・認知症の方々が社会経験を活かして社会に貢献したいという思いを大切に、「仕事」という取り組みにつなげている活動は他に見られない特徴と今後の可能性が感じられる。
・「働きたい」「人の役に立ちたい」という若年性認知症の人の願いは強く、そのためにも全国的にも広がりが期待される活動モデルである。今後はさらに、収入も保障された就労にもつながることを期待したい。
 
8) 「地域の認知症の拠点としてのグループホームの活動」
 
<応募者名称・代表者>
 特定非営利活動法人 ほのぼの朝日ネットワーク(岐阜県高山市)
 応募担当者:高井 道子
 
<活動の概要>
 「認知症にならない、なっても暮らせる(赤ちゃんから高齢者までほのぼの暮らせる)地域づくり」をキーワードに活動。住民自らが自主的につくったボランティアグループと、地域の行政、生協が協力してできたNPO法人で、グループホームを拠点に、宅老所、ふれあい会食会、子育て支援にも取り組む。入居者とスタッフが好きな所へスケッチに行く「外出支援」活動や、福祉系大学の学生が見学・研修に来るなど、活動は多岐にわたる。
 
【推薦理由】
・グループホームを拠点に世代や事業の枠を超えた活動が、認知症の方の生きがいや地域住民の理解の促進に結び付いている活動である。
・小さなグループホームでも認知症を理解してもらう情報発信基地としての役割を担っている。小さな町、地方でも先進の認知症ケアが可能であるモデルとなろう。
・住民自身のボランティアから大きく発展していっており、地域に根ざした活動をしている。オープンで自然な流れの中でご本人たちものびやかに暮らしている様子が素晴らしい。
・最期まで地域社会の一員として暮らすことができるこのような活動が、全国各地で展開されていくことが期待される。
 

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2.「町づくり2007モデル」推薦の経過

1) 推薦基準
@ 理解を広げるための先進的な取り組み
地域の多様な人々が認知症と支援について理解を広めるための先進的な取り組みがなされている
A 認知症の人同士が出会い、話し合い、ともに参加する地域の活動
地域の認知症の人同士が出会い、自分たちの声や力を出しながら、参加する地域での活動が取り組まれている
B 地域にある生活関連領域の人々が参画・協働する取り組み
地域での住民生活に関連した多様な業種(商店、交通機関、金融機関など)や関係者が加わった先進的な活動が展開されている
C 地域の人々と行政が協働する取り組み
地域の人々と行政とが協働しながら、共に暮らす町づくりを進めている先進的取り組みがなされている
D 今後や他地域での展開可能性
今後さらに継続・発展する可能性や他の地域でも展開する可能性がある内容や方法である

2) 一次推薦
 平成19年11月30日の一次推薦委員会で推薦基準にもとづいて検討し、15点の地域活動を推薦候補とした。

3) 最終推薦
 平成20年1月15日の地域活動推薦委員会では、まず全委員によって15の地域活動について慎重に検討を行った。続いて、委員長の司会のもとで各委員からそれぞれの活動に対する推薦理由および課題点が述べられ、活発な討議の結果、全員一致で8点の推薦を決定した。

3.地域活動推薦委員 一覧

  氏 名 所 属
委員長 堀田  力 財団法人 さわやか福祉財団 理事長
委員 池田 恵利子 いけだ後見支援ネット 代表
江川 紹子 ジャーナリスト
勝田 登志子 社団法人 認知症の人と家族の会 副代表理事
児玉 桂子 日本社会事業大学 教授
辰濃 和男 日本エッセイスト・クラブ 理事長
入村 明 新潟県妙高市 市長
藤井 克徳 きょうされん 代表
村上 達也 茨城県東海村 村長
村田 幸子 福祉ジャーナリスト
吉田 一平 ゴジカラ村 代表
(五十音順・敬称略)

参考1:「認知症を知り 地域をつくる10カ年」について  (2005年4月厚生労働省資料より)
●認知症を知る1年−2005(平成17)年度
●「認知症を知り 地域をつくる10ヵ年」中間年−2009(平成21)年度
到達目標 ○認知症について学んだ住民等が100万人程度に達し、地域のサポーターになっている。
○認知症になっても安心して暮らせるモデル的な地域(以下のような地域)が、全国各都道府県でいくつかできている。
・認知症であることをためらいなく公にできる。(早期発見・早期対応)
・住民や町で働く人々による(ちょっとした助け合い)が活発。
・予防からターミナルまで、関係機関のネットワークが有効に働いている。
・かかりつけ医を中心とした地域医療ケアチームがきめ細やかに支援している。
・徘徊する人を町ぐるみで支援している。
●「認知症を知り 地域をつくる10ヵ年」−2014(平成26)年度
到達目標 認知症を理解し、支援する人(サポーター)が地域に数多く存在し、すべての町が認知症になっても安心して暮らせる地域になっている。

参考2:「認知症を知り 地域をつくるキャンペーン」について

本キャンペーンのおもな取り組み

◆「認知症サポーター100万人キャラバン」による住民・職域・学校講座
(5年間で100万人の「認知症サポーター」を養成)
http://www.caravanmate.com/

◆「認知症でもだいじょうぶ」町づくりキャンペーン2007
http://www.dcnet.gr.jp/campaign

◆認知症の人「本人ネットワーク」支援
(認知症の人本人と家族のネットワークづくりを応援)
http://www.dai-jobu.net/

◆認知症の人や家族の力を活かしたケアマネジメントの推進
(認知症の人本人と家族によるケアプラン作り)
http://www.itsu-doko.net/

※詳しくは認知症になっても安心して暮らせる町づくり100人会議ホームページをご覧ください。
http://www.ninchisho100.net


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